骨系統疾患における新規CNP治療に対する有効症例鑑別診断法の確立

文献情報

文献番号
201024246A
報告書区分
総括
研究課題名
骨系統疾患における新規CNP治療に対する有効症例鑑別診断法の確立
課題番号
H22-難治・一般-191
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中尾 一和(京都大学大学院医学研究科 内科学講座 内分泌代謝内科)
研究分担者(所属機関)
  • 寒川 賢治(国立循環器病センター研究所)
  • 八十田 明宏(京都大学大学院医学研究科 内科学講座 内分泌代謝内科)
  • 伊藤 達也(京都大学大学院医学研究科 探索医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨系統疾患(Skeletal dysplasia)は骨・軟骨の成長障害をきたす先天性疾患の総称であり、著明な低身長や四肢短縮などによる著しい日常生活の支障をきたすが、現在、有効な薬物治療は確立されていない。申請者らはC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)が極めて強力な骨伸長促進作用を持つことを発見し、骨系統疾患の代表的疾患である軟骨無形成症のモデルマウスに対して劇的な治療効果を示すことを証明した(Nat. Med. 2004)。今後、軟骨無形成症に対するCNPの臨床応用が期待されるとともに、軟骨無形成症以外の骨系統疾患に対する展開研究が期待されるが、その有効性は確立されていない。本研究は、約400種類と数多く存在する軟骨無形成症以外の骨系統疾患におけるCNP治療有効症例の把握を、前臨床研究や疾患特異的iPS細胞を用いた解析と併せて総合的におこなう臨床展開研究である。
研究方法
まず、前臨床研究としてCNP/GC-B系の骨伸長促進作用を、骨/軟骨特異的CNP/GC-Bノックアウトマウスの作製と解析を通してより詳細に検討した。また、展開研究として、さまざまな骨系統疾患モデルマウスに対するCNPの作用を解析し、治療的効果を検討した。さらに、骨系統疾患患者におけるCNP治療の反応性を直接検討するための系として、患者由来iPS細胞からの培養軟骨細胞の樹立を目指し、iPS細胞から軟骨細胞への分化系の確立をおこなった。
結果と考察
軟骨特異的CNP/GC-Bノックアウトマウスにおいて、完全ノックアウトマウスと同等の骨伸長障害が確認され、成長板軟骨における局所因子としてのCNP/GC-B系の作用が骨伸長に重要であることが明らかとなった。また、一部の遠位中間肢異形成症のモデルマウスとしてのGDF5変異マウスを用いた胎仔脛骨器官培養において、CNPの培養脛骨伸長促進作用が確認された。さらにムコ多糖症7型モデルマウスと血中濃度上昇型CNPトランスジェニックマウスとの交配実験によって、モデルマウスの骨伸長障害は有意に改善した。さらに、ES細胞や間葉系幹細胞に用いた分化条件を用いることにより、iPS細胞の軟骨細胞への分化に成功した。
結論
今後前臨床研究としてさらに多くの骨系統疾患モデルマウスにおけるCNPの有効性を確認するとともに、疾患特異的iPS細胞の樹立とそれを用いたCNP反応系の構築をおこなう予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024246Z