両側性蝸牛神経形成不全症のサブタイプ分類に基づく診療指針の確立

文献情報

文献番号
201024244A
報告書区分
総括
研究課題名
両側性蝸牛神経形成不全症のサブタイプ分類に基づく診療指針の確立
課題番号
H22-難治・一般-189
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松永 達雄(独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター 聴覚・平衡覚研究部 聴覚障害研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 泰地 秀信(国立成育医療センター 耳鼻咽喉科)
  • 守本 倫子(国立成育医療センター 耳鼻咽喉科)
  • 坂田 英明(目白大学言語聴覚学科、埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科)
  • 浅沼 聡(埼玉県立小児医療センター 耳鼻咽喉科 )
  • 仲野 敦子( 千葉県こども病院 耳鼻咽喉科)
  • 高木 明(静岡県立総合病院 耳鼻咽喉科)
  • 阪本 浩一(兵庫県立こども病院 耳鼻咽喉科)
  • 大津 雅秀(兵庫県立こども病院耳鼻咽喉科)
  • 南 修司郎(独立行政法人国立病院機構東京医療センター耳鼻咽喉科)
  • 尾藤 誠司( 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター)臨床研究センター政策医療企画研究部臨床疫学室 )
  • 加我 君孝(独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) 臨床研究センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
蝸牛神経形成不全症(Cochlear Nerve Aplasia: CNA)は、原因不明の蝸牛神経発生障害による先天性高度難聴である。先天性高度難聴は出生1000人に1-2人に認められ、その5-15%が本症であることが近年明らかになった。本研究では、我々が21年度より厚生労働科学研究として行った本症に関する成果を発展させて、1)画像検査に基づいたサブタイプ分類とその頻度および臨床的特徴の解明、2)遺伝的背景の解明と遺伝カウンセリングへの活用、3)サブタイプ別診療指針の確立の3点を目的とする。
研究方法
1)画像検査に基づいたサブタイプ分類とその頻度および臨床的特徴の解明:両側性蝸牛神経形成不全症と診断された患者の画像検査結果よりサブタイプを決定し、頻度を明らかにし、それぞれの聴覚機能の特徴と補聴器、人工内耳、その他の治療方法による効果を比較検討した。2)両側性蝸牛神経形成不全症の原因遺伝子の同定と遺伝カウンセリングへの活用:両側性蝸牛神経形成不全症の患者から遺伝子解析の同意を得てDNAを採取し、まず既知の代表的な非症候群性難聴遺伝子に変異がないことを確認した。次いで両側性蝸牛神経形成不全症との関連が知られている症候群性難聴の原因遺伝子を解析した。遺伝子解析の結果を基に遺伝カウンセリングを実施して、その効果を評価して適正な活用方法を定めた。
結果と考察
現時点までに検討されたCNAは両側性は48例、一側性は75例であり、計123例171耳であった。また、難聴以外に症状がない非症候群性が93例、難聴以外にも症状がある症候群性が30例であった。両側性CNAでは非症候群性が23例、症候群性が25例であった。わが国のCNAの画像診断の現況から、CNAのサブタイプ分類はCTで蝸牛神経管狭窄、内耳道狭窄、内耳奇形を評価するのが実際的と考えられた。今回の検討で各サブタイプの聴覚の特徴が明らかになったことで、聴覚リハビリテーションの方法の選択や言語訓練の見通しがより適正にできると考えられる。また、CNAに対する人工内耳はCNAでない難聴と比べて効果が低い可能性が高いため、適応を慎重選ぶ必要がある。
結論
本年度の検討により得られた各サブタイプの聴覚、治療に対する効果、遺伝的背景の知見から両側性CNAの診療指針の作成が可能となった。

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024244Z