優性遺伝形式をとる遺伝性難聴に関する調査研究

文献情報

文献番号
201024242A
報告書区分
総括
研究課題名
優性遺伝形式をとる遺伝性難聴に関する調査研究
課題番号
H22-難治・一般-187
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
宇佐美 真一(国立大学法人信州大学 医学部耳鼻咽喉科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 工  穣(国立大学法人信州大学 医学部耳鼻咽喉科学講座 )
  • 熊川 孝三(虎の門病院 耳鼻咽喉科・聴覚センター )
  • 東野 哲也(宮崎大学医学部 耳鼻咽喉科学講座 )
  • 佐藤 宏昭(岩手医科大学耳鼻咽喉科学講座)
  • 古屋 信彦(群馬大学大学院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座 )
  • 武市 紀人(北海道大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座)
  • 石川 浩太郎(自治医科大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 池園 哲郎(日本医科大学耳鼻咽喉科学講座)
  • 内藤 泰(神戸市立医療センター中央市民病院)
  • 福島 邦博(岡山大学大学院耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 鎌谷 直之(理化学研究所ゲノム医科学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先天性難聴は新出生児1000人に1人に認められる頻度の高い先天性障害のひとつである。特に優性遺伝形式をとる遺伝性難聴の場合、1)罹患者数が少なく希少であり、2)家系ごとに原因遺伝子や臨床経過が大きく異なるため、効果的な診断法および治療法は未だ確立されておらず、多くの場合発症メカニズムは不明である。また、進行性の難聴である場合が多く、長期に渡って生活面に支障を来たす。さらに、優性遺伝形式で遺伝するため、再発率(次の世代に難聴が遺伝する確率)が50%であることより、患者の心理的負担が非常に大きいため、診断法・治療法の開発が期待されている。
本研究では、優性遺伝形式をとる遺伝性難聴患者を対象に、難聴の経過や随伴症状などの臨床情報および治療実態の調査を行いデータベース化することで、優性遺伝形式をとる遺伝性難聴患者の実態把握と治療法確立のための基盤整備を目的とした。
研究方法
本研究では、班研究に所属する10施設と連携し、優性遺伝形式をとる遺伝性難聴患者を対象に、難聴の経過や随伴症状などの臨床情報および治療実態の調査を実施し、実態把握と治療法確立のための基盤整備を行った。また、昨年度までに見いだしたKCNQ4遺伝子の詳細な検討を実施した。
結果と考察
昨年度までに継続し臨床情報の収集を行い、前年度までと併せて526例の情報収集を行った。収集された情報を基に解析を行った結果、優性遺伝形式をとる遺伝性難聴の患者の臨床的な特徴として、軽度?中等度難聴の場合が多く、かつ進行性の難聴が多いため、難聴発見が遅れる傾向にあることが明らかとなった。しかしながら、難聴の程度や進行性にはばらつきが大きく、タイプ別に治療指針を示すことが必要であることが明らかとなった。また、KCNQ4遺伝子の解析を実施し新規遺伝子変異を含む7種類の原因遺伝子変異を見出すとともにその聴力像にバリエーションがある事を明らかにした。今後、症例を増加するとともに解析を継続することで、更なる成果が期待できる。
結論
本研究により、優性遺伝形式をとる遺伝性難聴の実態把握(日本における罹患患者数・難聴の程度・進行性・随伴症状など)および治療実態の把握(補聴器・人工内耳の装用効果、言語成績など)が500例を超える規模で行われ、優性遺伝形式をとる遺伝性難聴の臨床的な特徴を明確にすることができた。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024242Z