小眼球による視覚障害の原因を特定するための疫学調査と診断・治療基準の創成

文献情報

文献番号
201024239A
報告書区分
総括
研究課題名
小眼球による視覚障害の原因を特定するための疫学調査と診断・治療基準の創成
課題番号
H22-難治・一般-184
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
仁科 幸子(国立成育医療研究センター 外科系専門診療部 眼科)
研究分担者(所属機関)
  • 黒坂 大次郎(岩手医科大学 眼科学講座)
  • 西田 保裕(滋賀医科大学 眼科学講座)
  • 近藤 寛之(産業医科大学 眼科学教室)
  • 堀田 喜裕(浜松医科大学 眼科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小眼球(症)は小児期より生涯にわたり重篤な視力障害を起こす先天性疾患である。本研究の目的は、小眼球症に関する全国疫学調査の結果を解析し、これを基盤として小眼球症の原因究明、保有視機能の早期診断法、眼球・眼窩の発育に関する画像評価法、小眼球症・合併異常に対する治療法の研究を実施し、よりよい診断・治療基準の作成に結びつけることである。
研究方法
1)小眼球症に関する全国調査の結果を解析、更に全国の義眼店に対し過去3年間に作成・調整した小眼球症の義眼について調査した。2)小眼球症の原因究明のため、網羅的な遺伝子解析の方法(MLPA)を応用し有用性を検討した。3)視細胞特異的遺伝子プロモーターとSV40 LargeT抗原遺伝子を用い、視器の発生に関わる遺伝子を発現する視細胞由来不死化細胞株の樹立を試みた。4)保有視機能の早期診断のため、光干渉断層計、黄斑局所網膜電図による新しい形態・機能検査を実施し検討を加えた。5)眼球・眼窩の画像評価のため、眼窩CT撮影と画像再構成の最適条件を検討した。6)片眼の重度小眼球に対する整容治療基準を作成するため、眼窩の発育異常につき眼窩CTを用いて評価した。7)眼内圧の変動の少ない白内障術式を開発すべく基礎データを収集した。
結果と考察
1)全国調査結果を解析し小眼球症患者の実態と臨床上の課題を把握した。更に小眼球に対する義眼の実態と課題が示された。2)MLPAは小眼球症遺伝子の網羅的なスクリーニングとして有用な方法となりうる。3)松果体由来不死化細胞株G2P-7細胞を樹立し、Sox2、Pax3、Sox10など小眼球に関わる遺伝子の発現解析に有用と考えられた。4)新しい形態・機能検査は保有視機能の早期診断に有用と考えられた。5)眼窩CT撮影と画像再構成の最適条件を設定した。6)眼窩CTは重症小眼球に伴う眼窩の発育不全を評価し整容治療基準を導入するために有用であった。7)安全な手術法の開発のため基礎データを収集できた。
結論
全国調査・義眼調査の結果を解析し小眼球症の実態と臨床上の課題を把握した。本症の原因究明、早期診断、画像評価、治療法開発のための研究を進めた。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024239Z