遺伝性ポルフィリン症の全国疫学調査ならびに診断・治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201024235A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝性ポルフィリン症の全国疫学調査ならびに診断・治療法の開発に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-180
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
川田 暁(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤雅雄(東京都市大学 生命科学)
  • 前田直人(鳥取大学 医学部)
  • 上出良一(東京慈恵会医科大学附属第三病院)
  • 大門 真(山形大学 医学部)
  • 中野 創(弘前大学 医学部)
  • 竹谷 茂(京都工芸繊維大学 工芸科学研究科)
  • 川原 繁(近畿大学 医学部)
  • 高村 昇(長崎大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遺伝性ポルフィリン症は極めて稀な疾患であり、これまで本邦における実態は不明であった。平成22年度から本研究班による研究「遺伝性ポルフィリン症の全国疫学調査ならびに診断・治療法の開発に関する研究」が開始され、様々な結果を得た。本研究ではその結果を踏まえて、実態調査・診断基準作成・遺伝子学的検索・新規治療法の開発・診断治療の手引き作成・患者QOL調査と向上・本症の啓蒙活動を実施することを目的とした。
研究方法
平成22年度の全国疫学一次調査の結果を参考に二次調査を行なう。各疾患の発症誘因、治療、合併症、予後を詳細に検討する。本症が臨床症状と生化学的測定値から診断できるよう、生化学的検査データを検討する。各患者や家族の遺伝子解析によって家系調査を詳細に行なう。本症の治療法を外用薬によって開発する。診断・治療の手引きを作成するために、調査で得られたデータを検討解析する。患者のQOLの実態を調査する。患者と医療従事者間のネットワークを構築する。一般市民に本症を理解してもらうために市民講座を主催する。
結果と考察
1) 全国疫学二次調査が一部開始され、本邦患者の一部の詳しい実態を把握した。2) 生化学的データの詳細な解析により診断基準案を作成し、今後の診断基準作成への土台を築いた。3) 遺伝子学的検索により本症の遺伝子異常が欧米と大きく異なることが初めて示され、本症の病態解明に寄与した。4) 新たな治療法として外用治療薬を開発し、実際の使用を開始した。5)「遺伝性ポルフィリン症の診断・治療の手引き (案)」を作成し、一般医療者向けの診断・治療の手引きとして利用可能となった。6) 患者QOL調査を行ない、本症と精神的健康度との関連を明らかにした。7) 患者相談窓口の全国展開を開始し、患者と医療関係者間のネットワークが始動した。8) 本研究班のホームページを創設し、市民講座の開催を行ない、本症の啓蒙活動を行なった。以上の研究において多大な成果を挙げた。
結論
これらの研究を通じて、遺伝性ポルフィリン症の疾患概念を確立し患者の実態を明らかにするという、本研究の目的は十分に達成できた。さらに診断・解析だけでなく、実際の治療・予防への応用や患者QOL向上を試み、患者自身に直接的な利益をもたらしたことは、きわめて有用かつ意義深いと考える。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024235Z