難治性慢性痒疹・皮膚そう痒症の病態解析及び診断基準・治療指針の確立

文献情報

文献番号
201024234A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性慢性痒疹・皮膚そう痒症の病態解析及び診断基準・治療指針の確立
課題番号
H22-難治・一般-179
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
横関 博雄(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 貴浩(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 片山 一朗(大阪大学医学部)
  • 戸倉 新樹(浜松医科大学皮膚科)
  • 安東 嗣修(富山大学大学院応用薬理学)
  • 椛島 健治(京都大学医学部)
  • 室田 浩之(大阪大学医学部)
  • 烏山 一 (東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 高山 かおる(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では本邦における痒疹・皮膚そう痒症の診断基準、重症度基準を作成して全国的な疫学調査を施行し発症頻度を明らかにする。また、診療ガイドラインを作成して重症度にあった適切な標準的治療法の確立を目指す。さらに、痒疹・皮膚そう痒症の病態解析する。
研究方法
全国の大学医学部皮膚科にアンケート用紙を送り慢性痒疹・皮膚そう痒症の発症頻度を解析。慢性痒疹・皮膚そう痒症の治療に精通した皮膚科専門医を主体として診療ガイドライン作成委員会を発足させ慢性痒疹診療ガイドラインを作成。特に治療指針はEBMを参考にしてアルゴリズムを作成する。Work Productivity and Activity Impairment questionnaire- Allergy Specific (WPAI-AS)を用い、痒みを主訴に大阪大学附属病院および関連施設皮膚科外来を受診した患者における労働障害率、勉学障害率、日常生活障害率を検証した。慢性痒疹患者の末梢血好塩基球表面における活性化抗原の発現と病勢との関連について検討。その他、痒疹の皮膚病変部のサイトカインプロファイルの解析。モデルマウスを用いた病態解析。
結果と考察
アンケート調査による重症慢性痒疹は0.015%(1.5万人)、重症皮膚そう痒症は0.455 %(39万人)と希少性疾患であることも明らかになった。診療ガイドラインは作成し日本皮膚科学会雑誌に投稿中。痒疹・皮膚そう痒症の労働障害率が高いことが明らかになった。痒疹および皮膚そう痒症の根本的な治療法を開発し改善することにより日本社会における労働生産性を向上することにより著明な経済効果(112億円/月)が期待。また、痒疹の発症機序に関する研究では好塩基球、Th2サイトカインが重要な役割を果たすことが明らかになった。さらに基礎研究ではIgE依存性慢性アレルギー性皮膚炎症の好塩基球欠損マウスを用いた解析で好塩基球が重要な役割を果たすことが明らかになった。蚊アレルギー性掻痒反応へのセリンプロテアーゼの関与、Artmin,フィラグリンの関与が明らかになった。
結論
治療ガイドライン作成、発症機序の解析により難治性慢性痒疹、皮膚そう痒症に対する標準的な治療法、新規療法が施行され高額医療費を伴う過剰医療を抑制して重症度に応じた治療指針により医療費削減も期待でき、労働生産性の向上も期待できる。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024234Z