エーラスダンロス症候群(主に血管型および新型)の実態把握および診療指針の確立

文献情報

文献番号
201024233A
報告書区分
総括
研究課題名
エーラスダンロス症候群(主に血管型および新型)の実態把握および診療指針の確立
課題番号
H22-難治・一般-178
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
古庄 知己(国立大学法人 信州大学 医学部附属病院遺伝子診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 福嶋 義光(国立大学法人 信州大学 医学部 遺伝医学・予防医学講座)
  • 籏持 淳(獨協医科大学 皮膚科)
  • 渡邉 淳(日本医科大学附属病院 遺伝診療科 生化学・分子生物学 分子遺伝学)
  • 松本 直通(横浜市立大学 大学院医学研究科 遺伝学)
  • 森崎 裕子(国立循環器病研究センター 研究所 分子生物学部)
  • 三宅 紀子(横浜市立大学 大学院医学研究科 遺伝学)
  • 鳴海 洋子(国立大学法人 信州大学 医学部 遺伝医学・予防医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Ehlers-Danlos症候群(EDS)は、皮膚・関節の過伸展性など結合組織の脆弱性を持つ先天性疾患であり、6つの主病型に分類されている。推定頻度は約1/5000人とされるが、これまで全国調査が行われたことはなく、本邦におけるEDSの実態はわかっておらず、病型に合った診療指針も確立されていない。本研究の目的は、(1)深刻な合併症を呈する血管型EDSにおける診療実態の解明、診療指針の構築。従来の皮膚線維芽細胞ベースの生化学分析・遺伝子解析よりも非侵襲的で精度の高い末梢血由来ゲノムDNAベースの解析法の開発。(2)我々が発見した、顔貌の特徴、先天性多発関節拘縮、皮膚過伸展・脆弱性、全身関節弛緩・慢性脱臼・変形、巨大皮下血腫等を呈する新型EDSの原因遺伝子単離・病態解明および疾患概念・診療指針の構築。
研究方法
血管型EDS:本邦で生化学分析・遺伝子解析を行っている3施設が確定診断した全症例を収集、診療実態の概要を調査。高解像度融解曲線分析(hrMCA)法に基づく末梢血由来ゲノムDNAを用いたCOL3A1遺伝子変異スクリーニングの有効性を評価。

新型EDS:ホモ接合性マッピング、ハプロタイプ解析による原因遺伝子の単離。
結果と考察
血管型EDS:36家系41人を確認、合併症は動脈系63%、呼吸器系51%、消化器系24%と従来の報告に比して呼吸器系が多かった。33家系において遺伝子変異が検出され、残る3家系ではnonsense-mediated decay(NMD)を来す変異などの可能性が考えられた。hrMCA法により従来sのミスセンス変異、スプライス変異のみならず、NMDを来すナンセンス変異、欠失変異も同定でき、有望な解析法と考えられた。

新型EDS:原因遺伝子が、デルマタン4-O-硫酸基転移酵素-1(D4ST1)をコードするCHST14であることを示し、D4ST-1の欠損により、デコリンに付加するデルマタン硫酸の消失を来たし、デコリンを介するコラーゲン細線維のassembly不全に至る、という病態を提唱した。
結論
血管型EDS:本邦で初めて診療実態の概要を示した。ゲノムベースのhrMCA法は有用な遺伝子解析法である。

新型EDS:D4ST1欠損に基づき、進行性結合組織脆弱性および発生異常を来すEDSの新病型である。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024233Z