内臓錯位症候群に対する新規治療薬の開発

文献情報

文献番号
201024228A
報告書区分
総括
研究課題名
内臓錯位症候群に対する新規治療薬の開発
課題番号
H22-難治・一般-173
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
石川 義弘(横浜市立大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 横山 詩子(横浜市立大学 大学院医学研究科)
  • 岩本 眞理(横浜市立大学 大学院医学研究科)
  • 押川 仁(横浜市立大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
11,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内臓錯位症候群は文字通り内臓の錯位と複雑な心奇形を合併する稀な疾患であり、先天的に脾臓を欠損、または複数の脾臓を有する状態にくわえて、様々な心奇形や内臓異常、免疫低下をともなう。複雑な心奇形によるチアノーゼと心不全症状を認め、複雑心奇形の治療は機能的根治手術に尽きるが、特に動脈管依存性心疾患の循環動態においては肺動脈と大動脈間のシャントが必要である。そのために正常児では閉鎖するはずの動脈管が、開存していなければならない。本研究では内蔵錯位症候群における動脈菅の検討を進めるとともに、開存のための新規治療法を検討した。
研究方法
内臓錯位症候群にともなう動脈管依存性先天性心疾患の患児にとって、動脈管を開存させておくプロスタグランジンの点滴は不可欠である。ところが、プロスタグランジンの半減期は短いために持続点滴を受けなければならない。我々が長年にわたって研究してきた動脈管の開存および閉鎖の分子メカニズムを活用して、動脈管血管平滑筋の閉塞性を検討し、プロスタグランジンの下流の動脈管アデニル酸シクラーゼの直接活性化により、内膜の肥厚を起こさないで、効果的で長時間作用性に動脈管を開存させる手法を検討した。
結果と考察
アデニル酸シクラーゼサブタイプ選択的な刺激剤であるFD1およびFD2が開発され、動物および培養細胞モデルでは顕著な動脈管開存効果を示したが、プロスタグランジン様の内膜肥厚効果はなかった。さらにラット胎児モデルに於いても個体レベルでの効果が確認された。さらに動脈管開存に必要な酸素刺激や成長ホルモン刺激、さらには浸透圧変化の影響が判明した。
結論
内臓錯位症候群症例をはじめとした動脈管サンプルの検討から、閉塞開存の分子メカニズムが判明しつつあり、それに基づいた新規治療法の検討が進んだ。この結果、薬物治療法だけでなくどのような輸液をはじめとする一般処置が重要であるかがわかってきた。これらの結果が内臓錯位症候群の心奇形を持つ患児をはじめとした多数の症例に対するより安全で効果的な治療法の開発に有用と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024228Z