CHARGE症候群の成人期の病像の解明と遺伝子診断の臨床応用・iPS細胞の確立

文献情報

文献番号
201024224A
報告書区分
総括
研究課題名
CHARGE症候群の成人期の病像の解明と遺伝子診断の臨床応用・iPS細胞の確立
課題番号
H22-難治・一般-169
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小崎 健次郎(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 加我 君孝(独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 臨床研究センター)
  • 黒澤 健司(地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 遺伝科 )
  • 小崎 里華(独立行政法人国立成育医療研究センター 内科系専門診療部 遺伝診療科)
  • 岡本 伸彦(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター 遺伝診療科)
  • 水野 誠司(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 臨床第一部)
  • 工藤 純(慶應義塾大学 医学部 )
  • 仁科 幸子(独立行政法人国立成育医療研究センター 外科系専門診療部眼科)
  • 赤松 和土 (慶應義塾大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
CHARGE症候群は1981年にその特徴所見の頭文字を取って命名された先天奇形症候群である。本研究班では、遺伝子診断で確定診断された症例を中心に、CHARGE症候群患者の医療的あるいは療育の現状について多角的に調査するとともに、新たな治療法の確立を目指した。
研究方法
1) 人工内耳埋込術
人工内耳手術を実施した2例の報告をおこなった。
2) 自然歴
2009年12月現在、神奈川県立こども医療センターセンター受診歴のあるCHARGE症候群26例(男性10例、女性16例)の詳細な自然歴を診療録により後方視的にまとめた。
3)患者家族会意見の集約
生活面から見た患者・家族のニーズについて自由記載アンケートを行った。60名の回答結果を集計した。
4)健康手帳作成
CHARGE症候群の健康管理に役立てるために健康手帳を作成した。
5)眼合併症
総計21例42眼の調査をおこなった。
6)iPS細胞
正常人由来iPS細胞の神経冠幹細胞への誘導に成功した
結果と考察
1) 人工内耳埋込術CHARGE症候群は重度の難聴がある場合であっても人工内耳手術が候補になることを示している。
2) 自然歴
約3割が就学以降に診断。視覚・聴覚障害により精神発達の評価は困難であるが、約8割の症例がなんからの手段を使ったコミュニケーションが可能であった。
3) 患者家族会意見の集約
「重複障害」に関する訴えが目立った。医療以外のキーワードとして「教育」「社会」などのキーワードが認められ、支援の必要性が示唆された。
4)健康手帳作成
年代別のガイドラインを作成し、実際の外来指導で試験的に使用した。
5)眼合併症
眼異常の合併率は20例95.2%。眼所見として眼底の網脈絡膜コロボーマ36眼85.7%、視神経乳頭コロボーマ36眼85.7%の比率が高く、黄斑欠損・部分欠損は23眼54.8%と高値。0.3未満の視力障害をきたしている例は61%。一方、黄斑が形成された例では0.3以上の視力が得られた。変異の種類によっては黄斑が形成され良好な視力が得られる可能性がある。
6)iPS細胞
正常人由来iPS細胞の神経冠幹細胞への誘導に成功した。
結論
眼合併症を含む自然歴、患者家族の意見、人工内耳埋込術、iPS細胞の神経冠幹細胞への誘導など新規治療法への端緒が得られた。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024224Z