Prader-Willi症候群の診断・治療指針の作成

文献情報

文献番号
201024220A
報告書区分
総括
研究課題名
Prader-Willi症候群の診断・治療指針の作成
課題番号
H22-難治・一般-165
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
永井 敏郎(獨協医科大学越谷病院 小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 緒方 勤(国立成育医療研究センター研究所 分子内分泌研究部)
  • 堀川 玲子(国立成育医療研究センター 内分泌代謝科)
  • 村上 信行(獨協医科大学越谷病院 小児科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、Prader-Willi症候群(PWS)の実態把握と、それに基づく診断・治療指針の作成である。
研究方法
以下の内容を検討した。
結果と考察
全国患者会を対象とする詳細な実態調査:昨年度の全国病院医師を対象とする実態調査に引き続き、本年度は、患者会の同意を得て、生殖補助医療の有無までを含む詳細な調査を実施し、現在解析中である。
遺伝子診断法の確立:FISH probe, MLPA probe, メチル化解析プライマー、マイクロサテライトプライマー、さらに、snoRNA欠失を同定するための高密度オリゴアレイCGHプローブを作成しえた。PWS様表現型を有する患者の確定診断や鑑別診断のツールが完成し、さらに、遺伝子診断フローチャートも完成しえた。
(エピ)遺伝子型-表現型解析:ほぼ全例の患者(約170例)において発症原因を特定し(欠失群、母性ダイソミー群、その他)、種々の症状や治療効果との関連性検討を開始した。これは、今後のPWSの診断・治療指針の確立に重要な役割を果たす。
成長ホルモン分泌動態の検討:欠失群(n=63)とダイソミー群(n=22)の比較から、成長ホルモンの分泌がUPD群においてより低下していること、GH治療の反応性が欠失とUPD全体では同等であることが判明した。
男性ホルモン補充に関する検討:男性ホルモン投与により、body mass indexと筋肉量は有意に改善し、有害事象は認められなかった。
精神症状に関する検討;精神症状では、セロトニン再吸収阻害剤,ブチロフェノン系剤,セロトニン・ドーパミン拮抗薬の有用性が示唆された。
側弯症関する検討;傍脊柱筋の増大率・左右差を検討することで側弯症の増悪を予測することができることが判明した。
高齢出産と母性ダイソミー:高齢出産が第一減数分裂不分離後のtrisomy rescue を介した15番染色体母性片親性ダイソミー発症のリスクファクターであることが判明した。
情報発信:ホームページの設置を行い、その更新を行った。

結論
全国患者会を対象とする詳細な実態調査、遺伝子診断法の確立、詳細な(エピ)遺伝子型-表現型解析、情報発信の基盤整備がなされた。さらに、高齢出産が第一減数分裂不分離後のトリソミーレスキューを介した片親性ダイソミー発症のリスクファクターであることが示された。これらの成果は、PWSの診断・治療指針の作成に結実すると期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024220Z