症候性頭蓋縫合早期癒合症(クルーゾン/アペール/ファイファー/アントレー・ビクスラー症候群)に対する治療指針の作成および新規治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201024219A
報告書区分
総括
研究課題名
症候性頭蓋縫合早期癒合症(クルーゾン/アペール/ファイファー/アントレー・ビクスラー症候群)に対する治療指針の作成および新規治療法の開発に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-164
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小林 眞司(地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 形成外科)
研究分担者(所属機関)
  • 黒澤健司(地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター遺伝科)
  • 安達昌功(地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター内分泌科)
  • 伊藤進(地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター脳神経外科)
  • 谷口英樹(横浜市立大学医学研究科・臓器再生医学)
  • 前川二郎(横浜市立大学附属病院・形成外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
症候性頭蓋縫合早期癒合症の症状は極めて複雑である。専門的かつ集学的治療を必要とするが、国内外においても適切な治療時期や方法は確立されていない。特に、顔面骨の低形成に起因する致死的な睡眠時無呼吸に関する機能的問題と顔貌に関する整容的問題の治療の確立が急務である。本研究は、症候性頭蓋縫合早期癒合症における治療指針の作成および機能的問題に対する新しい治療法である「顔面骨延長システム」と整容的問題に対する新しい治療法である「軟骨再生療法」の開発を目的とする。
研究方法
・頭蓋縫合早期癒合症に対する治療指針の作成を行う。
・新しい「顔面骨延長システム」の開発 企業と協力して新しい「顔面骨延長装置」を開発する。
・「軟骨再生療法」の開発 ①「軟骨幹細胞」の基礎的な特性解析として本ヒト幹細胞を分離し、軟骨再構築法の開発を行う。②「軟骨幹細胞」を用いた医療グレードの軟骨再生療法の開発 としてGMP準拠プロトコール作成など医療応用に向けてより具現化した研究を行い、細胞調整室内で自家血清培養法などの医療グレードの操作基盤技術を確立する。また、「ヒト幹細胞指針」の承認を目指す上で、大動物に移植を行う。
結果と考察
・「標準化された治療指針」が、全ての疾患に寄与するところは大きいと考えられた。
・新しい「顔面骨延長システム」の開発 既存の骨延長装置の欠点を補った新しい顔面骨延長システムを、2症例に臨床応用し、良好な結果を得た。本システムは本邦において標準化される可能性があると考えられた。
・「軟骨再生療法」の開発①軟骨幹細胞による軟骨再生技術を確立した。今後、多様な臨床ニーズに合わせた中核技術となると思われた。②医療グレードの軟骨再生療法の開発では、細胞調整室でのハンドリングが順調に行われ、自家血清で培養することができた。関節軟骨再生にも成功し、有効なシーズになることが判明した。
結論
症候性頭蓋縫合早期癒合症に対する「顔面骨延長システム」と「軟骨間葉系幹細胞による軟骨再生療法」を開発した。前者はすでに臨床応用され、良好な成績を挙げている。後者は、臨床応用可能なところまで来ている。本症候群は、成人に至るまで多くの外科的治療を必要とし、患児の苦痛だけでなく治療に対する社会的および経済的な負担は極めて大きい。これらの治療法により、比較的速やかに治療の改善が図られることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024219Z