14番染色体父親性・母親性ダイソミーおよび類縁疾患の診断・治療指針作成

文献情報

文献番号
201024216A
報告書区分
総括
研究課題名
14番染色体父親性・母親性ダイソミーおよび類縁疾患の診断・治療指針作成
課題番号
H22-難治・一般-161
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
鏡 雅代(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 分子内分泌研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 伸治(名古屋市立大学大学院医学研究科新生児 小児医学分野)
  • 柴崎 淳(神奈川県立こども医療センター 新生児科)
  • 左合 治彦(独立行政法人国立成育医療研究センター 周産期診療部)
  • 宮崎 治(独立行政法人国立成育医療研究センター 放射線診療部)
  • 黒澤 健司(神奈川県立こども医療センター 遺伝科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
14番染色体父親性ダイソミー (upd(14)pat) は羊水過多、胎盤過成長を呈し出生後はベル型と形容される小胸郭、腹壁の異常、特徴的な顔貌などを示す。また、upd(14)patと鏡像関係にある14番染色体母親性ダイソミー (upd(14)mat) および類縁疾患は出生前後の成長障害、筋緊張低下、思春期早発傾向、小さな手などを呈し、新生児期、乳児期はプラダーウィリー症候群との鑑別が問題となる。両疾患とも疾患概念は浸透しておらず発症頻度も不明で、診断基準、治療のてびきも存在しない。本研究は、両疾患患者の実態を把握し、診断基準、治療のてびきを作成し、長期予後の改善、生活の質の向上に寄与することを目的とする。
研究方法
upd(14)patおよび類縁疾患:遺伝子診断された患者の詳細な臨床像、治療についての二次調査を施行し、診断基準、治療のてびきを作成する。
upd(14)matおよび類縁疾患:upd(14)mat表現型を示す患者の有無についての一次調査を施行する。
結果と考察
<結果>
Upd(14)patおよび類縁疾患:遺伝学的病因別頻度を確定した。ダイソミーが19人 (61%)、微小欠失が7人 (23%) 、エピ変異が4人 (13%) 、不明1人 (3%) であった。さらに患者臨床像、画像の詳細な解析から、出生前診断法、臨床診断基準、画像診断基準、治療のてびきを作成した。
Upd(14)matおよび類縁疾患:upd(14)mat表現型陽性患者の有無を問い合わせる一次調査を全国の小児科医2206名に対して行い135例の表現型陽性例の報告を認めた。
研究成果はホームページ (http://www.nch.go.jp/endocrinology/upd14/)で公開する。
<考察>われわれは、upd(14)pat表現型を示し、14番染色体インプリンティング領域のメチル化異常を示す疾患群を14番染色体父親性ダイソミー症候群(upd(14)pat syndrome)と命名した。本研究成果を論文・学会発表を通して発信していく。
結論
Upd(14)patおよび類縁疾患の診断基準、治療のてびきを作成した。Upd(14)matおよび類縁疾患の遺伝子解析法を確立し、本疾患患者の実態把握のための一次調査を行った。来年度、確定診断のための遺伝子解析の依頼を行い、患者頻度、臨床像を明らかとし、診断基準、治療の手引き作成に結びつける。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024216Z