ゲノム・エピゲノム解析に基づく刷り込み疾患Beckwith-Wiedemann症候群の診断基準作成と治療法開発基盤の確立

文献情報

文献番号
201024215A
報告書区分
総括
研究課題名
ゲノム・エピゲノム解析に基づく刷り込み疾患Beckwith-Wiedemann症候群の診断基準作成と治療法開発基盤の確立
課題番号
H22-難治・一般-160
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
副島 英伸(佐賀大学 医学部 分子生命科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 東元 健(佐賀大学 医学部 分子生命科学講座)
  • 吉浦 孝一郎(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 秦 健一郎(国立成育医療センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Beckwith-Wiedemann症候群(BWS)のゲノム・エピゲノム解析を通じて刷り込み異常の原因を明らかにし、マウスiPSC、患者iPSCの解析により刷り込み調節機構を解明することを目的とした。
研究方法
佐賀大学医学部倫理委員会、遺伝子・ゲノム解析倫理委員会の承認のもと実施した。BWS関連疾患231例のうち、3種類の診断基準のいずれかを満たすのは184例で、うち107例について既知のゲノム・エピゲノム変異を解析した。今後の解析技術基盤としてSNP arrayによるUPD解析法、MALDI-TOF-MSによる刷り込みDMRのメチル化解析法を確立した。マウスiPSCの刷り込みDMRのメチル化解析を行った。低血糖例について糖尿病関連遺伝子の変異解析を行った。KvDMR1脱メチル化患者で見られた欠失領域について、他症例を次世代シークエンサーで解析した。bio-COBRA法とillumina社infiniumアッセイでゲノムワイドなメチル化解析を行った。
結果と考察
三主徴すべてを示す頻度は低いこと、生殖補助医療出生児の割合は欧米と同等であること、合併腫瘍では肝原発腫瘍が4割を占めること、10才以上での腫瘍発生があること、IGF2高発現が腫瘍リスクであること、などが明らかとなった。マウスiPSCの解析では、クローン間でメチル化状態が異なることがわかった。患児iPSCは作製中である。低血糖の原因としてKCNJ11、ABCC8、INSの変異は否定的であった。次世代シークエンサーを用いた解析では、coding領域での変異は認められず、数百bpレベルのindelも見いだせなかった。bio-COBRAで解析では、KvDMR1脱メチル化10例中2例で他の座位のメチル化異常を認め、H19DMR高メチル化2例でIGF2遺伝子内の高メチル化を認めた。infiniumアッセイ解析では顕著なDNAメチル化異常は存在しなかった。
結論
本邦例の臨床像とゲノム・エピゲノム異常の頻度と特徴を明らかにした。マウスiPSCでは、クローン間でメチル化状態が異なることを見いだした。今年度確立した各種の網羅的ゲノム・エピゲノム解析法を駆使したBWS症例の解析およびマウスiPSCおよび患者由来iPSCの解析により、ゲノム刷り込みの機構の本質を解明しBWSの予防法・治療法の開発基盤の確立を目指す。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024215Z