フォン・ヒッペルリンドウ病の病態調査と診断治療系確立の研究

文献情報

文献番号
201024207A
報告書区分
総括
研究課題名
フォン・ヒッペルリンドウ病の病態調査と診断治療系確立の研究
課題番号
H22-難治・一般-152
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
執印 太郎(高知大学 教育研究部医療学系臨床医学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 篠原 信雄(北海道大学 大学院医学研究科)
  • 矢尾 正祐(横浜市立大学 医学部)
  • 菅野 洋(横浜市立大学 医学部)
  • 宝金 清博(北海道大学 大学院医学研究科)
  • 西川 亮(埼玉医科大学 国際医療センター)
  • 夏目 敦至(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 倉津 純一(熊本大学 医学部)
  • 米谷 新(埼玉医科大学 医学部)
  • 福島 敦樹(高知大学 教育研究部医療学系臨床医学部門)
  • 石田 晋(北海道大学 大学院医学研究科)
  • 西森 功(高知大学 医学部)
  • 伊藤 鉄英(九州大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
VHL病は発症数が少ない優性遺伝性難治性疾患であり現在までに国内で大規模に調査をされた事はない。本研究では、1.VHL病患者の全国の患者数、長期経過における腫瘍の発症と治療経過を大規模に全国調査し国内の患者の概要を解明する。2.現在の国内の病態に即した診断と治療ガイドラインを作成し、国内の関連領域の専門医に提示する。3.過去の各医療施設の治療経験から国内のVHL病センターと各地域の拠点施設によるネットワークを構築しVHL病の治療と経過観察に寄与できる組織の確立と運用を図る。の3点を目的とした。
研究方法
調査方法として守秘性の高いインターネットシステムを各領域の研究者間で連携して活用し、VHL病患者の全国の患者数、長期経過における各腫瘍の発症過程と治療経過について各領域で調査形式を作成して全国調査を行った。研究代表者と研究分担者で各専門領域を分担して各学会と専門医へ調査した。その結果に基づいて作成したVHL病診断治療ガイドライン(案)を関係する各専門学会に対して適否の審査を依頼した。
結果と考察
2010年度の調査結果で全家系数は276家系、全患者数は409人であった。中枢神経系血管芽腫は294例(71%)、腎細胞癌は206例(50%)、網膜血管腫140例(34%)、褐色細胞腫は62例(15%)、膵神経内分泌腫瘍、膵嚢胞は各々、53例(13%)、152例(37%)であった。これら病態の発症は主に中央値20歳-35歳と一般の腫瘍より約30年早期であるが発症時期は予測困難であった。
結論
全国疫学調査の結果に基づいて診断と治療ガイドラインを全体会議で再度検討したが、大きな変更点はなかった。今後、医師側の長期の経過観察の重要性の認識と、患者さん側が各病態について経過観察を受けることが必要であるという自覚を持つことが、本疾患の予後を大幅に改善すると考えられた。VHL病は、病態の発症過程が複雑な上、詳細が不明であり、そのため長期の経過観察が必要であり多額の費用を要すること、生活の質が徐々に低下することから特定疾患として認定を受けるに足ることがさらに明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024207Z