Calciphylaxisの診断・治療に関わる調査・研究

文献情報

文献番号
201024204A
報告書区分
総括
研究課題名
Calciphylaxisの診断・治療に関わる調査・研究
課題番号
H22-難治・一般-149
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
林 松彦(慶應義塾大学 医学部血液浄化・透析センター)
研究分担者(所属機関)
  • 細谷 龍男(東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科)
  • 秋葉 隆(東京女子医科大学 腎臓病総合医療センター・血液浄化療法科)
  • 中元 秀友(埼玉医科大学 総合診療内科)
  • 梅澤 明弘(国立成育医療センター 研究所・幹細胞生物学)
  • 重松 隆(和歌山県立医科大学 腎臓内科・血液浄化センター)
  • 深川 雅史(東海大学 医学部内科学系腎代謝内科)
  • 川村 哲也(東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科)
  • 田中 勝(東京女子医科大学 東医療センター皮膚科)
  • 橋口 明典(慶應義塾大 学医学部病理学)
  • 杉野 吉則(慶應義塾大学 医学部予防医学センター)
  • 佐藤 裕史(慶應義塾大学 医学部クリニカルリサーチセンター)
  • 板井 昭子(株式会社医薬分子設計研究所)
  • 菅野 義彦(慶應義塾大学 医学部血液浄化・透析センター )
  • 吉田 理(慶應義塾大学 医学部血液浄化・透析センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Calciphylaxisは主に透析患者に発症する有痛性難治性皮膚潰瘍を主病変として、昨年度の当研究班の調査結果からその死亡率が50%を越えることが明らかとなっている難治性疾患である。本研究は、その発症危険因子の同定と、昨年度作成した診断規準案の検証、そしてその有効な治療法の同定を目的としている。
研究方法
昨年度の調査結果を基として、症例対照研究を行い、さらに、ワルファリン内服状況の調査と、ワルファリンを内服している透析患者において、calciphylaxis等の合併症発症をendpointとする前向き症例対照研究を実施した。さらに臨床情報を収集するためにレジストリーを作成した。Calciphylaxisの成因の一つである血管石灰化に重要な役割を果たす二次性副甲状腺機能亢進症の治療と血管石灰化進展の関係を検討する前向き観察研究を実施した。血管石灰化発症機序について培養平滑筋細胞を用いて基礎実験を行った。
結果と考察
症例対照研究の結果、ワルファリン内服、血清アルブミン低下が危険因子として同定された。そこで、ワルファリン内服状況について予備調査を行い、研究協力の意思を示した透析施設にワルファリン内服例と対照例の登録を依頼した。この前向き症例対照観察研究に、内服例357例、対照例673例が登録され、現在進行中である。これまで同様の調査が本邦で行われたことはなく、ワルファリンの有用性と、そのcalciphylaxis発症との関連、その他合併症の発症状況について重要な知見が期待される。また、血管石灰化と二次性副甲状腺機能亢進症の治療法との関連を検討する観察研究を開始し、現在進行中である。この研究は、手・足のX-p撮影の際にアルミニウムで作成した標準器を同時に撮影することにより、客観的に石灰化の程度を見る試みであり、新知見が期待される。レジストリーには5例が登録予定であり、各施設の倫理委員会で審理中である。基礎研究ではLPS、TNF-αが高リン培地と相加的に作用して血管石灰化を促進することが示され、LPS除去のための透析に用いる水処理の重要性と、しばしば見られる慢性炎症が重要な役割を果たすことが示唆された。
結論
Calciphylaisの発症には、ワルファリン内服、低栄養、慢性炎症が関与することが示された。疾患の予防と、治療法の検討のために、現在進行中の観察研究の成果が待たれる。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024204Z