遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)に関する遺伝疫学的検討と診療ガイドラインの作成

文献情報

文献番号
201024203A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)に関する遺伝疫学的検討と診療ガイドラインの作成
課題番号
H22-難治・一般-148
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
塩谷 隆信(秋田大学 大学院医学系研究科保健学専攻)
研究分担者(所属機関)
  • 村田 勝敬(秋田大学 大学院医学系研究科衛生学専攻)
  • 橋本 学(秋田大学 大学院医学系研究科放射線医学専攻)
  • 佐竹 將宏(秋田大学 大学院医学系研究科保健学専攻)
  • 佐野 正明(秋田大学 大学院医学系研究科呼吸器内科学専攻)
  • 小泉 昭夫(京都大学 大学院医学系研究科衛生学専攻)
  • 井上 博雅(鹿児島大学 大学院医医歯学総合研究科呼吸器内科学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
オスラー病(HHT)は多臓器疾患であるために臨床症状が極めて多岐にわたり,患者は内科のみならず,外科,耳鼻咽喉科,皮膚科,歯科など極めて多くの科を初診する(塩谷,呼吸,1989).さらに,合併する脳動静脈奇形(CAVM)あるいは,肺動静脈奇形(PAVM)の破裂により時に致死的となることも稀ではない.本研究は,2年の研究期間内に,日本におけるオスラー病の発生頻度・罹病率について遺伝疫学的に検討を行ない,本疾患による致死的合併症の予防,治療,さらに将来的には遺伝子治療の足がかりを探ろうとするものである.さらに,日本におけるオスラー病患者の臨床情報を集積し,これらのデータから「オスラー病に関する診療ガイドライン」の作成を行なうものである.
研究方法
オスラー病に関する診療ガイドラインの作成を目的として,まず,全国の呼吸器内科専門医,指導医4,409名に対して, PAVMに関して,HHTに合併あるいは非合併について第一次アンケート調査を行なった.次に,返信あった専門医,指導医に対して,PAVMに関して,受診時の年齢,性別,家族歴,鼻出血,多臓器AVM 末梢血管拡張症の有無,奇異性膿瘍の有無,低酸素血症の有無,PAVM(数,大きさ分布,治療方法)について調査を行った.
結果と考察
第一次アンケート調査の結果,PAVM202例中,HHT合併例は50例(20.7%)であることがわかった.次に,第一次調査で返信のあった専門医,指導医338名に対して第二次アンケート調査を行った.その結果,HHT合併PAVMでは性差はみられないが,HHT非合併PAVMでは女性が多かった.HHT合併PAVMでは約80%に鼻出血が合併した.PAVMに起因する奇異性脳膿瘍は,殆ど脳に発症するが,脳以外の臓器にも生じた.HHT合併PAVMは多発例が多く,その分布はHHT合併,非合併ともに下葉に多く分布した.PAVMの治療に関して,多くの症例ではコイル塞栓術が施行されているが,約20%では外科的肺切除が行なわれていた.
結論
日本においては,PAVM症例のうち約25%がHHTに合併している.HHT合併PAVMでは性差はみられないが,HHT非合併HHTでは女性が多い.HHT合併PAVMでは,約80%に鼻出血が合併する.PAVMに起因する奇異性膿瘍は殆ど脳に発症する.HHTに合併するPAVMは多発例が多く,PAVMはHHT合併,非合併ともに下葉に多く分布する.PAVMの治療に関しては,主としてコイル塞栓術が施行されているが,約20%では外科切除が行なわれている.

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024203Z