原因不明の慢性好酸球性肺炎の病態解明、新規治療法、およびガイドライン作成に関する研究

文献情報

文献番号
201024202A
報告書区分
総括
研究課題名
原因不明の慢性好酸球性肺炎の病態解明、新規治療法、およびガイドライン作成に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-147
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 正実(独立行政法人国立病院機構相模原病院)
研究分担者(所属機関)
  • 長瀬 隆英(東京大学)
  • 玉利 真由美(理化学研究所 ゲノム医科学研究センター)
  • 森 晶夫(独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性好酸球性肺炎(CEP)の以下を明らかにし病態解明を目指し、かつ新規治療法開発を目標とし、同時に診断治療指針作成につなげる。
研究方法
1)長期予後
2)好酸球性気道炎症とリモデリング(谷口)
3)ロイコトリエンはCEP再燃の予測因子(谷口)
4)脂質メディエーターの関与(谷口)
5)新規好酸球活性化因子の関与(谷口)
6)気道と全身における好酸球活性化(森 晶夫)
7)好酸球増多に関連する遺伝子多型(玉利)
8)発生工学的手法を用いた肺好酸球浸潤の病態解析(長瀬)
結果と考察
1)再燃率(73%)やCSSへの移行(20%)、肺機能低下が非常に多いことが明らかとなった。しかし一方、20%で寛解例も認めた。成人喘息の5年以上の経過中に2%にCEPが発症することが明らかとなった。
2)上下気道における強い好酸球性炎症は、その程度に応じて、組織学的リモデリングと肺機能低下を招くことが明らかとなった。
3)CEP初発時のU-LTE4が著明高値例では、ステロイド維持療法中に再燃を50%に認めたが、軽度高値例では11%の再燃であった。この事実は、U-LTE4が再燃予後指標になりうる可能性を示している。また唾液検体でも測定可能でバイオマーカーとなりうる(AI 2011)。
4)U-LTE4産生過剰と抗炎症メディエーター、LXsの再生低下を証明(CEA 2011)
5)ヒト検体のおいてeoxin C4を同定できることを証明した。今回の結果では、CysLTs濃度と15-HETEは相関し、15-HETEとBALF中好酸球%は強く相関したが、eoxin C4は、BALF中非常に低濃度で病態との関連も認めなかった。15-HETEが肺好酸球浸潤の病態へ関与している可能性が示唆された。
6)肺の好酸球浸潤には、T細胞のIL-5産生能が関連することを示している。
7)好酸球増多に関連する遺伝子はサンプル収集中。
8)KOマウスを用いたモデルを作成できた。病態解明において新しい視点を提供する独創的なものであり、炎症性肺疾患治療の展開に重要な寄与をなす。
結論
上記のように、CEPの疫学、予後、病態など多角的に国際的な業績をあげることができた。今後はこの成績を論文発表し、診断治療の手引きとしてHP上に公表予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024202Z