心電図健診による長期にわたる疫学調査:Brugada(ブルガダ)症候群の長期予後調査

文献情報

文献番号
201024199A
報告書区分
総括
研究課題名
心電図健診による長期にわたる疫学調査:Brugada(ブルガダ)症候群の長期予後調査
課題番号
H22-難治・一般-144
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
青沼 和隆(筑波大学 大学院人間総合科学研究科疾患制御医学循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 村越 伸行(筑波大学 大学院人間総合科学研究科疾患制御医学循環器内科)
  • 関口 幸夫(筑波大学 大学院人間総合科学研究科疾患制御医学循環器内科)
  • 夛田 浩(筑波大学 大学院人間総合科学研究科疾患制御医学循環器内科)
  • 入江 ふじこ(茨城県保健福祉部保健予防課健康危機管理対策室)
  • 西連地 利己(獨協医科大学・公衆衛生学講座)
  • 磯  博康(大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学)
  • 大平 哲也(大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学)
  • 山岸 良匡(筑波大学大学院人間総合科学研究科生命システム医学社会健康医学)
  • 谷川 武(愛媛大学大学院公衆衛生・健康医学)
  • 北村 明彦(大阪府立健康科学センター健康開発部)
  • 岡田 武夫(大阪府立健康科学センター健康度測定部)
  • 高木 雅彦(大阪市立大学大学院医学系研究科循環器病態内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 Brugada(ブルガダ)症候群は特徴的な心電図所見を有し、心室細動による突然死を来しうる症候群であり、本邦における突然死症候群の中で最も頻度が高い可能性が指摘されている。しかし症状や心室性不整脈の既往のない無症候性ブルガダ型心電図症例の実態や長期予後は十分にはわかっていない。本研究は、本邦における無症候性ブルガダ症候群の疫学的実態を評価し、本邦における有病率・臨床背景・長期予後を把握することを目的とした。
研究方法
 研究対象として、1969年から30年間以上継続している追跡調査研究(Circulatory Risk in Communities Study; CIRCS)に登録された約1万例のうち、昭和58年から63年までの4年間に健診で心電図検査を行った茨城県在住の40?69歳の男女4113名を対象とした。
結果と考察
 対象者の心電図を(1) 非ブルガダ型心電図群、(2) 典型的ブルガダ心電図群(タイプ1)、(3) 非典型的ブルガダ型心電図群(タイプ2/3、またはJ点が0.1?0.2mV未満)の3群に分類し、2004年末までの急性死の発症率を比較した。ブルガダ型心電図の有病率は、典型的ブルガダ型心電図7例(0.18%)、非典型的ブルガダ型心電図群83例(2.1%)、であり、ブルガダ型心電図全体の85%は男性に認められた。急性死の発症率は、非典型的ブルガダ型心電図群において4.8%と、非ブルガダ心電図群の1.5%や典型的ブルガダ型心電図群の0%よりも多い可能性が示された。
 これまでの欧米からの報告では、無症候性ブルガダ症候群の2?3年のフォローアップで、突然死・心室細動は0?8%と報告されている。また本邦でも、鎌倉らのブルガダ研究班が、無症候性ブルガダ症候群は予後が比較的良好であると報告している。特発性心室細動研究会(J-IVFS)の調査でも、無症候性ブルガダ症候群172例の平均44ヶ月のフォローアップ期間中、突然死・心室細動の心事故は2例(1.2%)と低率であった。しかしながら、今後さらなるデータの解析が必要と考えられる。
結論
 平成22年度まで解析を終えた約4200例の解析結果から、典型的ブルガダ心電図(type 1)に比し、むしろ非典型的ブルガダ心電図(type 2、type 3、またはJ点が1?2mmのブルガダ型心電図)に突然死例が多く存在していることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024199Z