原発性リンパ浮腫全国調査を基礎とした治療指針の作成研究

文献情報

文献番号
201024194A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性リンパ浮腫全国調査を基礎とした治療指針の作成研究
課題番号
H22-難治・一般-139
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
笹嶋 唯博(旭川医科大学 医学部 外科学講座 循環・呼吸・腫瘍病態外科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 齊藤 幸裕(旭川医科大学 医学部 外科学講座 循環・呼吸・腫瘍病態外科学分野 )
  • 中西 秀樹(徳島大学医学部 形成外科)
  • 橋本 一郎(徳島大学医学部 形成外科)
  • 重松 宏(東京医科大学 血管外科)
  • 笹嶋 由美(北海道教育大学 健康管理学)
  • 西條 泰明(旭川医科大学 地域保健疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療者、患者双方の意見を取り入れた多角的視点に基づいた治療指針を作成するために、原発性リンパ浮腫患者QOL調査を実施し患者の現状、要望を抽出する。
研究方法
アンケート配布協力を承諾いただいた医療機関を介して、通院中の原発性リンパ浮腫患者に調査票を配布した。調査内容はSF-36と独自QOL調査書によるリンパ浮腫診療での患者QOL評価を施行した。
結果と考察
アンケートの回収数は200名分であった。結果の概要は以下のとおりである。1、SF-36(成人)の結果;8つの下位尺度は全てで国民標準値を下回っていた。男女別では男性では比較的国民標準値に近い値を示していたが、女性では国民標準値との差が大きかった。さらに身体的サマリーと精神的サマリーで比較すると、身体的サマリーの低下が著しかった。これを男女別で比較すると男性では比較的保たれていたが、女性での低下が目立っていた。また年代別に比較すると、精神的サマリーは男女ともに年代で有意な差はなく、女性ではむしろ高齢化で改善する傾向があった。しかし身体的なマリーは男性では加齢とともに低下し、女性では60代までは保たれていたが、その後加齢とともに著しく低下していた。2、独自調査書(成人)の結果;1)原発性リンパ浮腫を診療してくれる病院を探すことは69%の患者が困難であったと回答した。2)検査;超音波やCT、MRIといった非侵襲的検査は90%以上の患者で苦痛を感じていなかったがリンパシンチグラフィーやリンパ管造影といった侵襲的検査は40%以上の患者が苦痛を感じていた。一方リンパシンチグラフィーの検査結果には50%以上の患者が満足していたが、他の検査では30%の患者が不満を感じていた。3)治療;リンパドレナージ、下肢拳上、空気圧マッサージなどではほとんど苦痛はなかった。弾性ストッキングや弾性包帯では25から35%程度の患者が苦痛を感じていた。またリンパ管静脈吻合術では耐え難い苦痛を訴えた患者がおよそ20%存在した。治療の結果については弾性ストッキングや弾性包帯、リンパドレナージではおおむね納得できる患者が多かったが、下肢拳上、空気圧マッサージでは満足と回答した患者は30%にとどまった。一方リンパ管静脈吻合術を受けた患者では納得できると答えた中間的回答が少なく、満足したものと不満足であったものがはっきりと分かれていた。4)経済的な負担を感じている患者は69%存在した。7)患者の要望では原発性リンパ浮腫の保険診療化と原因解明、治療法の開発の二つが多かった。
結論
この結果を踏まえ診断治療指針を作成する。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024194Z