ペリツェウス・メルツバッハー病の診断及び治療法の開発

文献情報

文献番号
201024192A
報告書区分
総括
研究課題名
ペリツェウス・メルツバッハー病の診断及び治療法の開発
課題番号
H22-難治・一般-137
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
田上 昭人(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 薬剤治療研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本におけるPelizaeus-Merzbacher disease (PMD)の発症頻度の調査解析およびin vitro PMD病態モデルの構築およびPMDの治療法の開発を行う。
研究方法
1)共培養に用いる神経細胞の単離
神経細胞は、胎生15日目のラットおよびマウスの後根神経節から実体顕微鏡を用いて単離を行った。
2)共培養に用いるグリア細胞の単離
胎児ラット大脳からのオリゴデンドロサイトの単離法を用いて精製を行った。
3)PMDを模倣するin vitro共培養系の構築
in vitroで神経細胞とグリア細胞の共培養系の構築を行い、PLP1をコードするレトロウイルスを感染させたオリゴデンドロサイト前駆細胞をまいて、神経軸索と培養することにより、PMDで観察される髄鞘形成不全を再現させた。
4)ShRNAおよび化合物ライブラリーを用いた治療薬標的分子のスクリーニング
PLP1過剰発現により誘導されたミエリン形成不全を改善する標的分子を明らかにするために、線状型RNA(shRNA)ライブラリーを、レトロウイルスにパッケージングしたものおよび市販の化合物ライブラリーを、PLP1と同時にオリゴデンドロサイト前駆細胞に添加し、精製した神経軸索上で、2-3週間共培養を行った。
5)候補分子の細胞レベルにおける効果の判定
 PLP1によるミエリン形成不全を改善する効果の見られた共培養に関して、そのカルチャーからtotal RNAを抽出し、RT-PCRおよびダイレクトシークエンスを行うことで、標的となる分子候補を同定した。その後、標的候補分子に対するshRNAをコードする発現ベクターを作製し、病態共培養モデルに還元することで、その効果を実証した。
結果と考察
スクリーニングにて、昨年までに同定したERKキナーゼに加えて、神経の分化や生存に深く関わる、別種のキナーゼ、さらにはキナーゼ型受容体などを同定した。さらに、これらのノックダウンがPLP1の誘導する不完全ミエリン形成を改善する効果も観察した。
結論
PMDを模倣するin vitroの病態モデル系の確立に成功し、この系を用いて、PMDで観察されるミエリン形成不全を改善する薬物スクリーニングを行い、標的分子候補の同定に成功した。今後さらにこのモデルを用いることによりさらに有効な治療薬のスクリーニングが可能になるものと期待できる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-03-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024192Z