ゲノムコピー数異常を伴う先天奇形症候群(ウォルフヒルシュホーン症候群を含む)の診断法の確立と患者数の把握に関する研究

文献情報

文献番号
201024190A
報告書区分
総括
研究課題名
ゲノムコピー数異常を伴う先天奇形症候群(ウォルフヒルシュホーン症候群を含む)の診断法の確立と患者数の把握に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-135
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
福嶋 義光(信州大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 涌井 敬子(信州大学 医学部)
  • 古庄 知己(信州大学 医学部附属病院)
  • 鳴海 洋子(信州大学 医学部)
  • 大橋 博文(埼玉県立小児医療セ ンター遺伝科 )
  • 川目 裕(お茶の水女子大学大 学院遺伝カウンセリ ングコース )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は下記の通りである.
 1)Wolf-Hirschhorn 症候群(WHS)の欠失範囲と臨床症状との関係を明らかにする.
 2)原因不明の先天奇形症候群とゲノムコピー数異常の関係を明らかにする.
 3)ゲノムアレイ解析で問題となる CNV(copy number variation)について,日本人のデータを集積し,精度の高いゲノムアレイ解析法を確立する.
 
研究方法
日本小児遺伝学会Dysmorphologyの夕べ実行委員会の委員から提供された,WHS症例20例,原因不明の多発奇形/精神遅滞(MCA/MR)患者101例,および既知の染色体異常症例28例のサンプルを対象に,Signature Genomics社のデザインによる135K のオリゴプローブを搭載したNimbleGen CGX array (SignatureChipOSTM) を用いて,専用解析ソフトGenoglyphix®により,ゲノムアレイ解析を実施した.
結果と考察
ゲノムアレイ解析を行ったWHS20症例では,欠失範囲が大きくなるにつれ,合併症や精神遅滞の程度が重症化する傾向がみられた.また,原因不明の多発奇形/精神遅滞症候群(MCA/MR syndrome)101例を対象に行ったゲノムアレイ解析では,全症例に何らかのゲノムコピー数の変化を認め,そのうち少なくとも10例(9.9%)は臨床症状と関連があるコピー数異常の可能性が高いと考えられた.既知の染色体異常例28例の解析では,ゲノムの欠失・重複範囲を詳細に特定すると同時に,複雑な染色体再構成の評価に有用であった.ゲノムアレイ解析は先天奇形症候群の診断に有用であるが,適切にコピー数の変化を評価するためには,必要に応じて患者および両親のmetaphase FISH解析を実施するなど追加解析を行う必要がある.また,臨床症状に直接関係しないコピー数多型(CNV)に関して今後日本人を対象としたデータベース構築が必要である.
結論
ゲノムコピー数異常を伴う先天奇形症候群の診断にゲノムアレイ技術は極めて有効であるが,最終的な診断を下すためには,日本人のCNVに関する情報の集積が必要である.

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024190Z