文献情報
文献番号
202528016A
報告書区分
総括
研究課題名
食品分野におけるナノマテリアルのリスク評価に資する、生殖発生毒性解析とばく露評価に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25ZA1006
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
東阪 和馬(大阪大学 高等共創研究院(兼任部局 薬学研究科))
研究分担者(所属機関)
- 鈴木 美成(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究区分
食品衛生基準科学研究費補助金 分野なし 食品安全科学研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
6,010,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、胎児の成長の基盤となる胎盤での毒性発現という観点から、ナノマテリアルが生殖・発生に及ぼす影響を解析することで、ナノマテリアルの物性-動態-毒性の連関解明・閾値追求・毒性学的指標の設定を図ると共に、食品分野におけるナノマテリアルのばく露量分布の推定を試みた。
研究方法
ナノマテリアルばく露による妊娠結果への影響を評価する目的で、マウスの妊娠後期にあたる妊娠15.5日目から17.5日目にマウスに対して、粒子径10 nmの銀ナノ粒子、ならびに、粒子径10 nm、100 nm、1000 nmの非晶質シリカを連日経口投与した。
結果と考察
妊娠期間中、対照群と比較して、母体体重に有意な変動は認められなかった。一方で、妊娠18.5日目に解剖後、子宮、胎仔、胎盤の重量をそれぞれ測定したところ、胎仔/胎盤重量比が有意に増加することが明らかとなり、子宮内環境の異常や胎盤機能不全が引き起こされることが示唆された。さらに、胎児の成長の基盤となる胎盤での毒性発現という観点から、ナノマテリアルが生殖・発生におよぼす影響を解析する目的で、胎盤を構成する栄養膜細胞の機能への影響をin vitroにて評価した。その結果、これまでの報告通り、粒子径10 nmの銀ナノ粒子が栄養膜細胞の細胞融合を抑制することが確認でき、一方で、粒子径30 nm、75 nmの銀ナノ粒子では認められなかったことから、銀ナノ粒子の粒子径の違いが栄養膜細胞の細胞融合におよぼす影響を規定し得ることが示された。加えて、食事由来のナノマテリアルばく露量を推定するため、serving-size試料を対象とした銀ナノ粒子の分析法及を開発し、今後は、確立した分析法を用いることで、食品中ナノマテリアル含有量の定量化を試みる。
結論
本研究の成果は、ナノマテリアルの物性の違いと胎盤毒性の発現、ならびに、ばく露実態情報との連関追求に基づいて、ナノマテリアルによる健康影響の理解や毒性学的指標の設定だけでなく、ヒト健康に影響を及ぼしうる「定量値」の算出にも寄与する。そのうえで、今後のリスク評価の是非を議論するうえで不可欠な知見の提供や新たな政策形成にも貢献できる。
公開日・更新日
公開日
2026-08-19
更新日
-