ビッカースタッフ型脳幹脳炎の診断及び治療方法の更なる推進に関する研究

文献情報

文献番号
201024189A
報告書区分
総括
研究課題名
ビッカースタッフ型脳幹脳炎の診断及び治療方法の更なる推進に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-134
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
神田 隆(山口大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 楠 進(近畿大学 医学部)
  • 山村 隆(国立精神神経医療センター 神経研究所 )
  • 古賀 道明(山口大学 医学部)
  • 中村 好一(自治医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ビッカースタッフ型脳幹脳炎(BBE) の国内における実態を把握し、液性免疫機序の解析、先行感染因子の解析、血液脳関門の動態という3つの側面からBBEの病態を明らかにすることを目的とした。
研究方法
本研究課題に先行して平成21年度に行った“ビッカースタッフ型脳幹脳炎の本邦における実態把握と病態解明に向けた研究(研究代表者 神田 隆)”の成果を踏まえ、BBE全国二次調査による患者実態の把握、自己抗体および細胞性免疫の解析、先行感染因子の解析、BBB破綻メカニズムの解析を行った。
結果と考察
平成22年度には以下のような成果を得た。1.BB E二次調査を実施し、73症例につき詳細な臨床情報につき回答を得た。BBE症例の臨床像の特徴として、(1)先行感染症状があることが多く、(2)発症から2週間以内にピークを迎え、(3)眼球運動障害は外転障害が優位、(4)四肢筋力低下をきたしやすく、(5)腱反射は低下・消失、(6)血中IgG抗GQ1b抗体が陽性、(7)頭部MRIで異常がみられることは比較的稀、(8)全例で免疫グロブリン大量静注療法が行われている、などが明らかとなった。2.BBEでは、GT1aよりGQ1bに強く反応する抗体がみられることが多く、抗原へのPAの添加により抗GQ1b抗体の反応性が増強しない例が多かった。3.NMO末梢血では、古典的多発性硬化症および健常者と比較して、CD180陰性CD38強陽性CD27陽性C D19弱陽性細胞が有意に増加しており、この異常B細胞の培養上清は抗アクアポリン4抗体活性を有していた。4.BBEでの先行感染パターンはGBSのそれと全く異なっており、BBEで高頻度に急性期感染が示唆されたのは、水痘帯状疱疹ウイルス、Haemophilus influenzae、ムンプスウイルスの3つの病原体であった。5.MFS患者血清はBBB/BNBモデルに影響は及ぼさなかったが、BBE患者血清はBBBモデルの電気抵抗値を有意に低下させた。またBBE血清はBBB由来内皮細胞株におけるclaudin-5の発現を低下させた。
結論
上記の成果をふまえ、BBE診断基準の策定と病態の解明、特異的治療法の開発を行う基盤が整備できた。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024189Z