文献情報
文献番号
202528012A
報告書区分
総括
研究課題名
食品用器具・容器包装等の食品衛生に係る安全性確保の推進に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25ZA1002
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
阿部 裕(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
- 藤原 恒司(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究区分
食品衛生基準科学研究費補助金 分野なし 食品安全科学研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和9(2027)年度
研究費
14,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
食品用器具・容器包装、乳幼児用おもちゃおよび洗浄剤(以下、「器具・容器包装等」)の安全性は、食品衛生法及び食品衛生法に基づき告示された『食品、添加物等の規格基準』により担保されている。このうち器具・容器包装については、合成樹脂製の器具・容器包装を対象に、令和2年6月からポジティブリスト(PL)制度による管理も始まり、これらの材質に関する安全性確保の取組が一層強化された。また一方で、持続可能な開発目標(SDGs)等の国際的な取組として脱炭素化・脱プラの取組が進められ、合成樹脂等の化学合成品から紙や木材などの天然素材への切り替えに加え、新規材質やリサイクル材質を利用した多様な製品の開発が加速している。このような状況を踏まえ、各材質のリスクの程度や国際的動向を考慮した規格の在り方について整理を進める必要が生じている。一方、乳幼児用おもちゃ及び洗浄剤の規格基準は長らく改正されていないため、実態との齟齬や器具・容器包装の規格基準と整合性が取れていない部分が存在している。そこで本研究では、① 器具・容器包装等の規格基準に関する研究及び ② 市販製品に残存する化学物質に関する研究の二つの課題を実施した。
研究方法
器具・容器包装の規格基準に関する研究では、地方衛生研究所、登録検査機関、業界団体及び学術界の実務担当者から構成されるWGをそれぞれ設置し、これまでの経緯、最新の知見や情報を改めて整理するとともに規格改正に向けた方針について議論した。
市販製品に残存する化学物質に関する研究では、登録検査機関及び地方衛研と協力して分析法の性能評価、分析法の開発、製品中の残存量や溶出量等が明らかでない化学物質の調査等を行った。
市販製品に残存する化学物質に関する研究では、登録検査機関及び地方衛研と協力して分析法の性能評価、分析法の開発、製品中の残存量や溶出量等が明らかでない化学物質の調査等を行った。
結果と考察
器具・容器包装の規格基準については、個別規格のない合成樹脂や天然材質等、材質別規格が未設定の器具・容器包装に対して一定水準の安全性の確保を目的とした暫定的な対応の方向性について整理を行い、全ての器具・容器包装に共通するCd及びPbの溶出規格を設定することが簡便性及び有効性の観点から適当であると結論された。おもちゃの規格基準に関しては、おもちゃと器具容器包装の規格基準の比較、公的規格と自主規格の比較に加え、令和7年に改正された消費生活用製品安全法の内容、それに対するST基準の対応等に関する情報を取りまとめ、今後の課題についても改めて整理した。洗浄剤の規格基準に関しては、制度的背景と過去の検討内容を改めて整理するとともに、ヒ素、重金属及びメタノール試験法については現行法を維持しつつ同等以上の試験法の使用を可能とすること、2種類の着色料及び生分解度については規格の削除とするのが適切であると結論された。ただし、実際の改正にあたっては、事業者への負担や他分野への波及影響等にも配慮し、慎重に検討する必要がある。
市販製品に残存する化学物質に関する研究については、溶出試験における試験溶液の調製操作に関する共同試験では、アルミ箔を用いて溶出試験における精度管理手法としての有用性を検証し、一部の条件では溶出操作の精度管理手法として用いることが可能であると結論した。リサイクルプラスチックに由来する玩具等のハロゲン系難燃剤及び金属等に関する調査では、一部の試料から複数のハロゲン系難燃剤及びそれらに関連する元素が高濃度で検出され、リサイクル材料の使用が疑われた。食品用器具・容器包装に用いられる安定剤に関する研究では、安定剤からの生成物を単離、精製し、さらに構造解析を行うとともに、これらのAmes変異原性を評価した。市販ゴム製手袋の規格適合性に関する検証の結果、「食品衛生法適合」の表示がないものでは一部の規格値を超過した。市販ポリ塩化ビニル製手袋に関する実態調査では、市販のPVC製手袋について蒸発残留物試験を実施し、食品衛生法適合の記載のある検体ではいずれも規格値を満たしたが、PLに収載されていない物質の溶出やフタル酸エステルが含有されている検体も確認された。HS-GCを用いた相対モル感度(RMS)法によるスチレン類(揮発性物質)の分析法の検討では通知試験法と同等の結果が得られるRMS法を確立した。ただし、使用するHSSにより定量値が大きく変わる可能性が示唆された。PL収載物質の分析情報の収集では、複数の分析機器メーカーの協力を得て、46物質を対象に、LC-MS/MS分析における分析情報を収集し公開を目的としてデータ表としてまとめた。
市販製品に残存する化学物質に関する研究については、溶出試験における試験溶液の調製操作に関する共同試験では、アルミ箔を用いて溶出試験における精度管理手法としての有用性を検証し、一部の条件では溶出操作の精度管理手法として用いることが可能であると結論した。リサイクルプラスチックに由来する玩具等のハロゲン系難燃剤及び金属等に関する調査では、一部の試料から複数のハロゲン系難燃剤及びそれらに関連する元素が高濃度で検出され、リサイクル材料の使用が疑われた。食品用器具・容器包装に用いられる安定剤に関する研究では、安定剤からの生成物を単離、精製し、さらに構造解析を行うとともに、これらのAmes変異原性を評価した。市販ゴム製手袋の規格適合性に関する検証の結果、「食品衛生法適合」の表示がないものでは一部の規格値を超過した。市販ポリ塩化ビニル製手袋に関する実態調査では、市販のPVC製手袋について蒸発残留物試験を実施し、食品衛生法適合の記載のある検体ではいずれも規格値を満たしたが、PLに収載されていない物質の溶出やフタル酸エステルが含有されている検体も確認された。HS-GCを用いた相対モル感度(RMS)法によるスチレン類(揮発性物質)の分析法の検討では通知試験法と同等の結果が得られるRMS法を確立した。ただし、使用するHSSにより定量値が大きく変わる可能性が示唆された。PL収載物質の分析情報の収集では、複数の分析機器メーカーの協力を得て、46物質を対象に、LC-MS/MS分析における分析情報を収集し公開を目的としてデータ表としてまとめた。
結論
以上の研究成果は、食品衛生基準審議会や食品安全委員会において規格基準を改正するための審議資料として活用できるほか、分析法や実態調査に関する研究成果を論文として広く公表することで、食品等事業者及び消費者に対し有益な情報を提供できる。このように、我が国の器具・容器包装等の食品衛生に資する安全性確保と食品衛生行政の発展に大きく貢献するものと考える。
公開日・更新日
公開日
2026-10-14
更新日
-