レット症候群の診断と予防・治療法確立のための臨床および生物科学の集学的研究

文献情報

文献番号
201024188A
報告書区分
総括
研究課題名
レット症候群の診断と予防・治療法確立のための臨床および生物科学の集学的研究
課題番号
H22-難治・一般-133
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 雅之(国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第2部)
研究分担者(所属機関)
  • 松石 豊次郎(久留米大学医学部)
  • 野村 芳子(瀬川小児神経学クリニック)
  • 栗政 明弘(鳥取大学大学院医学系研究科)
  • 堀家 慎一(金沢大学フロンティアサイエンス機構)
  • 井手 秀平(東京都立東部療育センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
レット症候群(RTT)は乳児期から多彩な症状を呈する疾患である。原因遺伝子としてメチル化CpG結合タンパク2(MECP2)が解明されたが、有効な治療法や療育法がない。本研究では、RTTの臨床疫学調査と診断手引きの作成、生体試料の収集とバイオマーカーの探求、モデルマウスの研究等を集学的に行い、RTTの病態解明を進め、科学的根拠に基づいた診断・予防・治療法を確立する。
研究方法
(1)臨床疫学調査:全国調査に基づき個別調査を行った。研究のための生体試料収集とバイオマーカー検索を行なった。(2)患者由来変異MECP2のヘテロクロマチンの発現解析:患者由来変異MECP2発現ベクターを作製し、繊維芽細胞で発現解析を行った。(3)Mecp2発現制御遺伝子改変マウスの解析:新規発現制御Mecp2遺伝子改変ES細胞およびマウスを作製し、戻し交配を進め第6世代をえて、発現制御の薬剤量の検討を行なっている。(4)15q11-13のMECP2による遺伝子発現制御機構の解明:ヒト神経細胞SH-SY5Yにおける15q11-13上のMECP2結合部位の同定を行なった。
結果と考察
(1) 患者総数1011名(推定値)、有病率0.009%が得られ、患者分布の地域差が分かった。RTTの診断基準の普及と診断の標準化が必要である。豪州との共同研究を行ない、臨床像や診断について、国際的な比較検討を行なっている。バイオマーカーの検索では、血中グレリン値が低値であることをみつけた。MECP2遺伝子変異との関連性を調べている。(2) ヘテロクロマチン構造の相違と症状の重症度との相関を見出した。ゲノムDNA結合能、転写活性化能、転写への影響について、発現解析およびクロマチン免疫沈降解析を進めている。(3) 新規ROSA26法による発現制御Mecp2遺伝子改変ES細胞および改変マウスを作製した。改変マウスは第6世代まで戻し交配が終了し、発現制御研究を行なっている。(4) 15q11-13の約10Mbの各遺伝子座の核内配置をDNA-FISHで解析し、GABRB3近傍で特異的に相同染色体のペアリングが認められた。MeCP2やCTCFのノックダウン細胞株でも同様に相同染色体のペアリングの異常が認められた。
結論
疫学・臨床研究では有病率0.009%が得られ、患者分布の地域差があることが分かった。RTTの診断基準の普及と診断の標準化を行う必要がある。また、豪州との共同研究を行ない、国際的検討を進める。基礎研究の進展は、複雑な病態解明のみならず、治療法の開発に役立つ。特に、Mecp2の発現制御マウスは詳細な治療実験が可能であり、今後の展開が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024188Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
19,500,000円
(2)補助金確定額
19,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-