小児神経伝達物質病の診断基準の作成と新しい治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201024184A
報告書区分
総括
研究課題名
小児神経伝達物質病の診断基準の作成と新しい治療法の開発に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-129
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
新宅 治夫(大阪市立大学 大学院医学研究科発達小児医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 瀬川 昌也(瀬川小児神経リニック)
  • 加藤 光広(山形大学 医学部発達生体防御学講座小児医科学分野)
  • 齋藤 伸治(北海道大学 大学院医学研究科小児科学分野)
  • 浜野 晋一郎(埼玉県立小児医療センター 神経科)
  • 久保田 雅也(国立成育医療研究センター 第一専門診療部 神経内科)
  • 遠山 潤(国立病院機構西新研究潟中央病院 小児科)
  • 夏目 淳(名古屋大学 大学院医学系研究科小児科学)
  • 服部 英司(大阪市立大学 大学院医学研究科発達小児医学分野)
  • 前垣 義弘(鳥取大学 脳神経小児科)
  • 松石 豊次郎(久留米大学 医学部小児科)
  • 井手 秀平(東京都立東部療育センター)
  • 藤岡 弘季(大阪市立大学 大学院医学研究科発達小児医学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成21年度に行った疫学調査に基づき、平成22?23年度中に神経伝達物質病の新たな診断法を確立し、診断基準を作成し、さらに新たな治療法を開発することである。本研究は早期診断と効果的な新しい治療法の確立だけでなく、小児神経発達における神経ネットワークの構築過程の解明を目指す。本研究の目的は、神経伝達物質の異常に起因する個々の希少疾患を統合し集約することであり、神経伝達物質病として共通の概念で病態を解明し、新しい治療法を開発することである。
研究方法
全国を7つの地区に分け各拠点病院の小児神経を専門とする医師を分担研究者とする研究班を構成し、各地区の神経伝達病について調査を行う。これまで組織的・体系的に研究されてこなかった希少疾患において、患者やその家族の自由意志に基づき個人情報の取り扱いには充分に配慮して行われる本研究の実態調査は、患者家族の不安を解消し治療に対する希望をあたえ、さらに国民の健康・福祉の向上につながるだけでなく医療に対する信頼が増し、行政および社会への貢献は計り知れないものがあると考えられる。小児神経伝達物質病を診療している分担研究者を中心に、新たな診断法の確立、診断基準の作成、新たな治療法の開発を行う。
結果と考察
発達期に刺激伝達にはNS・DAニューロン・5-HTニューロン・NAニューロン終末部とそれに続く特異的な神経回路が関与するため、成熟脳にみるSNc縫線核および青斑核に由来するニューロンの関与する回路とは異なるものであることが示された。AADC欠損症の一般像を明らかにし低緊張型もしくは不随意運動を伴う原因不明の脳性麻痺で,oculogyric crisisをきたす例をスクリーニングすることが効率的であることを見いだした。またAADC欠損症をスクリーニングする方法として夜間唾液中メラトニン濃度測定の有効性を示した。小児神経伝達物質病のMRIでは不随意運動に関連する基底核の異常所見よりも,大脳白質における異常所見が重要と考えられることを示した。またestradiol のドパミン代謝に対する影響が原因として想定されることを明らかにした。
結論
重症心身症施設で診断不明の症例について診断基準に基づくスクリーニング検査を行い、小児神経伝達物質病の鑑別診断を行った。その結果新たに1名のSSADH欠損症が発見され、また数名の瀬川病患者を新規に診断した。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024184Z