毛細血管拡張性小脳失調症の実態調査、早期診断法確立と、病態評価に関する研究

文献情報

文献番号
201024183A
報告書区分
総括
研究課題名
毛細血管拡張性小脳失調症の実態調査、早期診断法確立と、病態評価に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-128
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
水谷 修紀(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 )
  • 高木 正稔(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 )
  • 熊田 聡子(財団法人東京都医学研究機構 東京都立神経病院)
  • 林 雅晴(財団法人東京都医学研究機構 東京都神経科学総合研究所)
  • 金子 英雄(岐阜大学医学部地域医療医学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
この研究では毛細血管拡張性小脳失調症(AT)患者を対象とした早期診断・早期診療を目指した簡易診断法や、AT患者の呼吸・嚥下・神経機能評価法を開発し、AT責任遺伝子産物ATMの新たな機能を探索することから、ATの診断・治療に還元することを目的とする。得られた結果は、新たな患者診療の手引きとして提供する。またAT患者の小脳失調改善のための臨床試験を行い、その有効性を評価する。
研究方法
研究班を中心とした共同研究体制によって実施し、基礎研究、橋渡し研究、臨床研究、診療基盤の整備を各々行っていく。
結果と考察
東京医科歯科大学を中心とした診療ネットワーク(診断、遺伝子解析、診療指針の提供、コンサルテーションシステムの確立)を構築した。ATに関する情報を集約したホームページによる情報提供、情報を広く発信し、ATの診療にかかわるであろう医療関係者および患者、患者家族にとって有意義なシステムを構築した。また基礎研究として、ATにおける免疫の評価を行い、T細胞リンパ球分化がDouble Negative期で停止することを明らかにした。ATMの腫瘍発生防御機構における役割の検討としてハイドロキシウレアによるDNA複製停止が起こった後、問題が解決されない時Artemis依存的にDNA2重鎖切断が起こり、ATM-p53を介した細胞死誘導機構が起こることを明らかにした。ATにおける糖尿病発症機構の研究として脂肪細胞分化障害の原因が脂肪細胞分化に必須な遺伝子C/EBPαの発現調節異常にあることを明らかとした。ATにおける小脳失調の研究としてglutamate decarboxylaseとカルシウム結合蛋白に対する免疫組織化学染色により小脳変性でのPurkinje 細胞障害の詳細を明らかにした。またAT簡易診断法の確立と検証としてフローサイトメーターを用いたATMタンパクの測定方法、HRM解析やPCR –PFLP法を用いたATM SNPs検出方法を確立した。臨床研究としてはATにおける呼吸器機能、嚥下機能、神経機能などの評価法の確立を行い、これに基づきATにおける神経症状改善のための少量ステロイド療法の臨床試験を開始した。
結論
基礎研究の毛細血管拡張性小脳失調症(AT)の病態解明に貢献した。また同時に診療基盤整備を行い基礎的な研究から診断方法の確立を行い、実際の診療現場へ導入した。また診療を行っていくうえで必要な情報をホームページを用いて引き出せるようにした。また将来の治療法確立のために運動失調症改善を目的として少量ステロイド療法の臨床試験を開始した。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024183Z