牟婁病の実態の把握と治療指針作成

文献情報

文献番号
201024180A
報告書区分
総括
研究課題名
牟婁病の実態の把握と治療指針作成
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-難治・一般-125
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小久保 康昌(三重大学 大学院医学系研究科生命医科学専攻 神経感覚医学講座神経病態内科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 辻 省次(東京大学医学部付属病院 神経内科)
  • 紀平 為子(関西医療大学 保健医療学部 )
  • 長谷川 成人(東京都精神医学総合研究所 分子神経生物学研究チーム )
  • 広川 佳史(三重大学大学院医学系研究科 腫瘍病態解明学講座 )
  • 岡本 和士(愛知県立大学 看護学部 )
  • 富山 弘幸(順天堂大学医学部 脳神経内科)
  • 高島 明彦(理化学研究所 脳科学研究センター アルツハイマー病研究チーム )
  • 村山 繁雄(東京都健康長寿医療センター 研究所 老年病理学研究チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
牟婁病の実態の把握と治療指針の作成にむけて、疫学研究、環境要因調査、原因遺伝子解析、異常凝集蛋白質研究、患者由来iPS細胞作成、早期診断のためのバイオマーカーおよび今後の新規治療薬の検討について実施する。
研究方法
①疫学研究:有病率調査、②環境要因調査:食事栄養調査と飲料水中の成分調査③原因遺伝子解析:全ゲノム遺伝子解析にむけての準備とミトコンドリアDNA解析、④Multiple proteinopathy:tau, TDP-43,α-synuclein、OPTN の異常凝集蛋白質解析と神経病理学的検討、⑤iPS細胞作成:作成に向けての取り組み、⑥早期診断のためのバイオマーカーの検討、⑦新規治療薬の臨床研究に向けての展望と可能性について実施した。
結果と考察
①疫学研究:和歌山県K地区のALS年齢性調整発症率3.5/10万人、O地区に限ると 8.1/10万人であった。三重県H地区では、12名のALS/PDC 症例が確認され粗有病率は 1041.7/10万人であった。②環境要因調査:栄養摂取状況調査では、多発地では、糖質、イモ類、野菜類の摂取割合は高く、油脂や肉類などの脂質割合が低かった。水質調査では、和歌山県K地区の水道水中Ca含量は低値を示した。三重県H地区ではかつての飲料水である井戸水、谷水での低Ca、低Mg を認めた。③原因遺伝子解析:次世代シーケンサーを用いた全ゲノム配列再解析の準備を進めた。多発地住民のミトコンドリアハプログループは、East Asia人と差異がなかった。④Multiple proteinopathy:OPTN, tau のオリゴマー解析とwestern blot 解析、tau, TDP-43、α-synuclein、OPTNの神経病理学的解析を行い、それぞれ新たな知見を得た。⑤iPS細胞作成:4例の皮膚細胞から線維芽細胞を樹立した。⑥早期診断のためのバイオマーカー:髄液中のタウ、リン酸化タウ、Aβの解析を行った。⑦新規治療薬の開発研究:牟婁病における臨床研究に向けた準備を行った。また今年度は、牟婁病のホームページを開設した。
結論
基礎から臨床のそれぞれ分野において、着実な研究の進展と新たな知見が得られた。今後、各分野における研究を発展させる上で、次世代シークセンサーを用いた全ゲノム解析により遺伝的背景が明らかになることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024180Z