アイカルディ‐ゴーティエ症候群等のビオプテリン代謝異常を伴う疾患の診断方法確立および治療法開発のための横断的研究

文献情報

文献番号
201024178A
報告書区分
総括
研究課題名
アイカルディ‐ゴーティエ症候群等のビオプテリン代謝異常を伴う疾患の診断方法確立および治療法開発のための横断的研究
課題番号
H22-難治・一般-123
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
一瀬 宏(東京工業大学 大学院生命理工学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 一子(独立行政法人 国立病院機構 相模原病院 神経内科)
  • 豊島 至(秋田大学医学部 神経内科)
  • 小幡 文弥(北里大学 医療衛生学部 分子遺伝学免疫学)
  • 高田 昌彦(京都大学霊長類研究所 神経科学・神経解剖)
  • 南部 篤(生理学研究所 神経生理学)
  • 一瀬 千穂(藤田保健衛生大学 医学部・薬理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
14,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ビオプテリン代謝異常を伴う難治性疾患として、主にドーパ反応性ジストニア(瀬川病)とアイカルディ・ゴーティエ症候群(Aicardi-Goutières syndrome; AGS)について全国的なアンケート調査を行い、本邦における患者数や病態・診断治療の実態について明らかにする。また、遺伝子解析について同意の得られる患者について遺伝子変異の検索を行い、遺伝子診断に基づく鑑別診断を確立し、これらの難治性疾患の病態を明らかにする。さらに、申請者らが独自に開発したビオプテリン代謝異常モデルマウスについて、ビオプテリン欠乏による大脳基底核の情報処理システムの変化を解析し、ビオプテリン代謝異常に基づく疾患の病態生理を解明し、新規治療法の開発に向けた研究を行う。
研究方法
瀬川病とAGSに関する患者病態や実態調査は、一次調査で症例ありとした医療機関に調査用紙を送付しアンケート方式により行った。瀬川病病態に関する研究は、ビオプテリン代謝異常モデルマウスを用いて、生化学的・免疫組織化学的・電気生理学的手法により解析した。研究を行うにあたっては、ヒトゲノム・遺伝子解析に関する倫理指針、疫学研究に関する倫理指針、および、動物実験の適正な実施に向けたガイドラインを遵守し、本研究に関する倫理審査を受審し承認を得たのちに行った。
結果と考察
AGSおよび瀬川病に関する二次調査を行った。AGSの可能性が高いと思われる症例を含め、10例内外のAGS患者の存在を確認した。瀬川病については、回答の寄せられた23症例について、遺伝子変異の有無と臨床像との相関について比較検討したが、遺伝子変異の有無による臨床像の差はほとんど認められなかった。また、臨床的に瀬川病と診断された患者の約半数で、遺伝子変異を同定できていないことがわかった。今後、遺伝子変異が見出されない原因の解明が必要と考えられた。瀬川病発症機構の解明のために、モデルマウスを用いた電気生理学的解析を行った。さらに、生後発達期の脳にビオプテリン欠乏が及ぼす影響を解析した。パーキンソン病におけるビオプテリン代謝の変化を検討するために、孤発性パーキンソン病患者および家族性パーキンソン病(PARK8)患者の脳脊髄液におけるビオプテリン代謝を解析した。
結論
AGSおよび瀬川病に関して本邦における実態調査を進展させることができた。生後発達期の脳におけるビオプテリン欠乏は、ドーパミンニューロンの発達に重大な影響を及ぼすことを明らかとした。CSF中ビオプテリン代謝の解析は、ドーパミンニューロン変性のマーカーとして有用であることを示した。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024178Z