コケイン症候群の病態解明および治療とケアの指針作成のための研究

文献情報

文献番号
201024176A
報告書区分
総括
研究課題名
コケイン症候群の病態解明および治療とケアの指針作成のための研究
課題番号
H22-難治・一般-121
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
久保田 雅也(国立成育医療研究センター 神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 杉田克生(千葉大学教育学部養護教育学基礎医科学部門)
  • 林 雅晴(東京都医学総合研究所 脳発達・神経再生研究分)
  • 田沼直之(都立府中療育センター小児科)
  • 熊田聡子(都立神経病院神経小児科)
  • 森脇 真一(大阪医科大学医学部感覚器機能形態医学講座皮膚科学)
  • 中根裕信(鳥取大学医学部機能形態統御学講座ゲノム形態学分野)
  • 立石 智(熊本大学 発生医学研究所 発生制御部門)
  • 星野英紀(国立成育医療研究センター 神経内科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
コケイン症候群(CS)(は常染色体劣性遺伝形式でのDNA修復の異常を原因とする稀少難病である。いずれも重度の精神運動発達遅滞を合併し、多様な症状が出現するため多くの専門科が協力して診療にあたるべき疾患である. 今回の本研究班の目的としては(1)CSの日本における発生頻度の検討、(2)CSの診療実態と死亡原因の詳細の検討、(3) CSの治療とケアの指針作成、(4) CSの基礎的病態の解明があげられる。これらによりCS患者のQOL改善と一般の疾病理解、治療ケア体系の確立をめざすものである。
研究方法
上記目的中(1)-(3)に関して 21年度の「コケイン症候群の実態把握および治療とケアの指針作成ための研究」の全国調査データを詳細に解析検討することにより(1)CSの日本における発生頻度の検討、(2)CSの診療実態と死亡原因の詳細の検討、(3) CSの治療とケアの指針作成をすすめた。(4)に関して 中枢神経病理(視床下部障害)解析、紫外線抵抗化生理因子の解析、各種DNA修復試験、分子生物学的手法を駆使したCS確定診断法の樹立、モデル動物XPG nullマウスの解析、酸化ストレスの関与の検討、不随意運動の解析によりCSの基礎的病態の解明に関する研究を行った。
結果と考察
全国調査におけるCSの発生頻度は100万出生あたり1.72と判明した。CS発生頻度は日本においては西ヨーロッパにおける値2.7よりもやや少ないが大きくは変わらないといえる。CS死亡例15名ののうち8名は著明な腎不全が死因に関係した。腹膜透析等の治療介入の是非や時期の検討とともに腎不全の基本的病態や進行のマーカーの検討が今後の課題である。CSの治療とケアの指針の包括化、体系化の必要性が重要と思われた。CSの基礎的病態の解明に関しては CSの紫外線感受性の機序の解明、分子生物学的手法を駆使して本年度は新規に3例のCSを確定診断、CS疾患モデルとしてのXPG nullマウスの解析、蛍光試薬を用いる簡易細胞診断法確立、剖検脳での酸化ストレスマーカーの神経病理学的解析、不随意運動の解析、CSの視床下部障害解析などが多彩な視点から解析され病態の中核や治療に迫る成果が上がったと考える。
結論
コケイン症候群の臨床実態の検討および基礎的な病態に迫る研究を行うことができ「包括的診断・治療およびケア指針」作成につながる成果が出せた。いわゆる稀少難病の治療・ケアは多彩な症状をかかえ、経験も共有化できておらず、包括化、体系化が重要と思われた。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024176Z