Gorlin症候群の病態解明と治療法確立のための臨床的研究

文献情報

文献番号
201024175A
報告書区分
総括
研究課題名
Gorlin症候群の病態解明と治療法確立のための臨床的研究
課題番号
H22-難治・一般-120
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 克則(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 宮下 俊之(北里大学 医学部)
  • 杉田 克生(千葉大学 教育学部)
  • 斎藤加代子(東京女子医科大学 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Gorlin症候群は1960年にGorlinらによって報告された身体奇形と高発癌性を特徴とする神経皮膚症候群である。身体奇形には、手掌足底の皮膚小陥凹、顎骨嚢胞、椎骨肋骨奇形、大頭症、大脳鎌石灰化がある。また基底細胞癌、髄芽腫等を多発する高発癌性遺伝疾患でもある。Gorlin症候群は、症例報告はあるものの本邦では現在までにまとまった報告はない。Gorlin症候群では、年齢とともに癌が発生しやすい特徴があるが、一番の問題点は加齢とともに発生する癌に対しては現在予防法や治療方法が確立されていないことである。このような状況から、本研究の目的は全国調査を通じて本疾患の現状を探るとともに、日常生活上の対応を含め具体的な診療指針を作成し、本症候群への医療的対応を示すこととした。
研究方法
Gorlin症候群の実態を調査するため、全国主要施設の小児科、小児神経科、遺伝科、脳神経外科、皮膚科、歯科口腔外科を対象にアンケート調査を行った。またGorlin症候群患者におけるPTCH1遺伝子解析、および染色体微小欠失例の解析も行う。発生する腫瘍には微小欠失がないかCGHアレイ解析を新たに行う。
結果と考察
57.8%の施設から回答があり、のべ311症例が報告された。歯科口腔外科が62.1%と最も多く、次いで皮膚科が26.4%であった。年齢分布は10歳代が最多であり、症状は歯科疾患77.5%、皮膚科疾患57.2%、骨奇形30.9%の順であった。我々は以前よりGorlin症候群の遺伝子解析を行なっており、今年度は通常のPCR-シークエンシング法で責任遺伝子PTCH1に変異が見出されなかった症例について、コピー数解析用のカスタムアレイを作製しアレイCGH法で解析したところ、2家系でそれぞれ1.1 Mbと2.4 Mbにわたるゲノムの半量欠損を認め、PTCH1はいずれの欠損領域にも含まれていた。昨年度までに解析した症例を含めると、日本人NBCCSの16%(5/32)はPTCH1遺伝子の全欠損が原因であり、通常の方法で変異が見出されない家系に限ると、遺伝子欠損例は63%(5/8)であった。以上の点から、変異陰性例ではPTCH1のコピー数解析が重要と考えられた。
結論
今回初めて日本国内におけるGorlin症候群患者の実数把握がなされ、当初予想をはるかに超える311名もの患者数が判明した。今後はこれら症例の詳細を解析して、本邦におけるGorlin症候群の実態を明らかにしてゆく。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024175Z