筋チャネル病および関連疾患の診断・治療指針作成および新規治療法開発に向けた基盤整備のための研究

文献情報

文献番号
201024173A
報告書区分
総括
研究課題名
筋チャネル病および関連疾患の診断・治療指針作成および新規治療法開発に向けた基盤整備のための研究
課題番号
H22-難治・一般-118
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 正紀(大阪大学大学院 医学系研究科 神経内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 石浦 章一(東京大学大学院 総合文化研究科)
  • 大野 欽司(名古屋大学大学院医学系研究科 神経遺伝情報学)
  • 木下 正信(首都大学東京 健康福祉学部)
  • 松浦 徹(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 脳神経内科学)
  • 松村 剛(国立病院機構 刀根山病院 )
  • 尾方 克久(国立病院機構 東埼玉病院)
  • 佐々木 良元(三重大学医学部附属病院 神経内科)
  • 木村 卓(兵庫医科大学 内科学(神経・脳卒中科))
  • 荒木 敏之(国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筋チャネル病について、一次性に加え二次性のチャネル病として筋強直性ジストロフィー(DM)も対象として、遺伝子解析・チャネル機能解析・分子病態解析を行い、トランスレーショナルリサーチの礎となる臨床研究も推進することを目的とした。
研究方法
一次性チャネル病については、他施設例も含め精力的に遺伝子解析を行った。新規変異についてはチャネル機能の解析まで行った。本邦の診断確定例について臨床的特徴などを解析した。電気生理学的検査の診断に対する有用性を検討した。DMについては、治療の前提となる病態解明として、スプライシング異常とそれにかかわるRNA結合タンパク(CUGBP1, MBNL1)の機能について解析を行った。患者の早期発見の観点から、初発症状・初診時主訴を分析するとともに、一般臨床医が使える本症のスクリーニング法の開発を行った。欧米ではDMの数割を占めるが本邦では一例しか同定されていないDM2について、インターネットで情報提供し、遺伝子解析を行った。
結果と考察
一次性チャネル病については、新規変異を含む遺伝子異常を数多く同定した。特にイントロン領域の変異によるNaチャネルミオトニーを世界で初めて見出した。新規変異ではチャネル機能の解析を行い、病態との関連を明らかにした。本邦で高頻度に見られる変異・その臨床的特徴などをまとめた。Naチャネル異常症の診断に有用な針筋電図所見を明らかにした。
 DMに関しては、骨格筋および脳の病態と関係すると思われる新たなスプライシング異常を発見し、CUGBP1, MBNL1の標的RNA配列を網羅的解析法にて同定した。DMの初発症状・初診時主訴を分析するとともに、一般臨床医が使える本症のスクリーナーの原案を作成した。疑い例10例以上を解析したが新規のDM2はなかった。細胞内イオン環境の恒常性と疾患に関する基礎研究も推進した。
結論
一次性および二次性の筋チャネル病について、基礎から臨床まで各方面の専門家を網羅し研究を進めた。遺伝子解析・チャネル機能解析・分子病態解析を精力的に推進し成果をあげ、さらにトランスレーショナルリサーチにつながる臨床研究も推進できた。疾患に対する認識を向上させ、早期発見・正確な診断につながるよう情報発信を積極的に行った。今後も、患者のADL・QOL向上につながるよう、本研究班を舞台とした共同研究の推進がいっそう必要である。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024173Z