文献情報
文献番号
202527015A
報告書区分
総括
研究課題名
こどもの健やかな成長・発達のためのバイオサイコソーシャルの観点(身体的・精神的・社会的な観点)からの切れ目のない支援の推進のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24DA0301
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
永光 信一郎(学校法人福岡大学 医学部小児科)
研究分担者(所属機関)
- 岡 明(埼玉県立小児医療センター)
- 前垣 義弘(鳥取大学 医学部)
- 三牧 正和(帝京大学 医学部小児科学講座)
- 内村 直尚(学校法人 久留米大学)
- 榊原 秀也(横浜市立大学附属市民総合医療センタ― 婦人科)
- 松浦 賢長(福岡県立大学看護学部)
- 野邑 健二(国立大学法人東海国立大学機構)
- 子吉 知恵美(金城大学 看護学部)
- 岡田 あゆみ(土居 あゆみ)(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科小児医科学)
- 杉浦 至郎(あいち小児保健医療総合センター 保健センター保健室)
- 井上 建(獨協医科大学越谷病院 小児科)
- 山口 忍(茨城県立医療大学 保健医療学部)
- 斉藤 まなぶ(弘前大学医学部附属病院 神経科精神科)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
19,350,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究班の目的は、母子保健のデジタル化・医療DXの進捗も考慮しながら、効果的な乳幼児健診の提言をアウトカムとしている。研究2年目においては、5歳児健康診査(5歳児健診)の推進を研究課題の中核に位置づけ、二段階方式と集団健診の効果比較を実施し、その後、第二次自治体アンケートを展開した。その他、1か月児健康診査(1か月児健診)の現況調査、および思春期の健康課題について検討を行った。
研究方法
5歳児健康診査の推進に向けた研究として、5歳児健診の全国展開に向けた第二次自治体アンケート研究、5歳児健診における二段階方式と集団健診との効果比較に関する研究、5歳児健診問診票とSDQ(Strengths and Difficulties Questionnaire:子どもの強さと困難さアンケート)の比較検討に関する研究を実施した。こどもまんなか社会―5歳児健診をこどもたちにどのように伝えるかをテーマに、Web絵本「みんなでいこう! ごさいじけんしん」」制作も行った。5歳児健診の社会的ニーズを知る目的で、3歳児健康診査を受診した保護者の5歳児健診需要等に関する質問紙調査や、5歳児健診に対する医師の意識調査を実施した。また、WEB健診導入の課題整理と保健指導の在り方についても検討した。1か月児健診の実施状況に関する調査も実施した。本研究に関連する倫理申請は福岡大学倫理委員会で承認された(U25-08-005 U25-11-012 U25-12-012)。
結果と考察
全国自治体アンケート(回収率74%)では、令和6年度の結果と比較して、健診実施率(15%→27%)、今後の予定(1年以内に実施予定の自治体立11.5%→28.9%)と大幅な改善を認めた。一方、継続的な課題として「フォローアップ体制の構築(78.7%→75.6%)」であった。健診医から集約した意見においても、事後相談体制についての課題が示唆された。個別健診実施自治体の意見として、個別健診は、継続的にかかりつけ医によるフォローが行える一方、多職種による評価やフォロー体制が取りにくい点を認めた。自治体健診データ解析(第一次自治体アンケート調査及び7市町詳細調査)から、二段階方式と集団健診は、同等の効果(健診に関わる職種・専門相談・フォローアップ体制の割合・保育所等における支援浸透度)を示した。5歳児健診問診票(令和5年度研究班報告)は、SDQと比較して、知的発達症の検出に有用であった。健診診察時間が長いほど、就学支援に寄与していた。健診医の5歳児健診ポータルの認知度は60%と高かった。保護者の5歳児健診参加の受診以降ありは70.9%(受診以降なしは6.5%)であった。こどもたちへの5歳児健診プレパレーションとして、5歳児健診のWeb絵本が制作された。1か月児健診の実施状況について、福岡県の小児科・産婦人科医療機関446施設から53.4%(238件)の回答を得た。診療科(小児科・新生児科・産科)によらず「時間的・空間的制約」を挙げる回答が多く、産科医からは「人的リソースの不足」を、新生児科医・小児科医からは「産科と小児科の連携不足」を挙げる回答も多く得られた。
5歳児健診における二段階方式と集団健診との効果比較に関する研究で、7市町の健診データ解析から、同等のフォローアップ体制が構築されていることが示されたことをもとに、こども家庭庁の事務通知より、地域の実情に応じて、「対象となる年齢の幼児全てに、発達相談や巡回相談等による聞き取りやアンケート等を組み合わせて実施等(一段階目)したうえで、医師の関与のもと発達等に課題があると考えられた幼児を対象に医師が診察する健診(二段階目)」(以下「二段階方式」という。)を行うことも、差し支えないこととなった。その結果、第二次自治体アンケートで示されたように、健診実施自治体数、1年以内に実施する自治体数の大幅増加につながったと考えられる。問診票の比較調査から、ASD、ADHD以外にも軽度知的発達症の検出にも有用な二段階方式用の問診票の開発が期待される。保護者の5歳児健診参加希望率は高く、5歳の幼児も含め、5歳児健診の意義について丁寧な説明をおこなっていくことが必要である。福岡県における1か月児健診の実態状況から、質の高い1か月児健診を全国に定着させるために、地理的・空間的特性に配慮した人的・物的・財政的支援に加え、施設間および診療科間の連携プロトコルを策定することの必要性が示唆された。
5歳児健診における二段階方式と集団健診との効果比較に関する研究で、7市町の健診データ解析から、同等のフォローアップ体制が構築されていることが示されたことをもとに、こども家庭庁の事務通知より、地域の実情に応じて、「対象となる年齢の幼児全てに、発達相談や巡回相談等による聞き取りやアンケート等を組み合わせて実施等(一段階目)したうえで、医師の関与のもと発達等に課題があると考えられた幼児を対象に医師が診察する健診(二段階目)」(以下「二段階方式」という。)を行うことも、差し支えないこととなった。その結果、第二次自治体アンケートで示されたように、健診実施自治体数、1年以内に実施する自治体数の大幅増加につながったと考えられる。問診票の比較調査から、ASD、ADHD以外にも軽度知的発達症の検出にも有用な二段階方式用の問診票の開発が期待される。保護者の5歳児健診参加希望率は高く、5歳の幼児も含め、5歳児健診の意義について丁寧な説明をおこなっていくことが必要である。福岡県における1か月児健診の実態状況から、質の高い1か月児健診を全国に定着させるために、地理的・空間的特性に配慮した人的・物的・財政的支援に加え、施設間および診療科間の連携プロトコルを策定することの必要性が示唆された。
結論
効果的な乳幼児健診の提言に向けて、地域における5歳児健診を中心とした乳幼児健診の拡充が確認された。フォローアップ体制の確立とともに、5歳児健診および1か月児健診の精度管理に対する課題整理が必要になると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2026-10-08
更新日
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