シャルコー・マリー・トゥース病の診断・治療・ケアに関する研究

文献情報

文献番号
201024170A
報告書区分
総括
研究課題名
シャルコー・マリー・トゥース病の診断・治療・ケアに関する研究
課題番号
H22-難治・一般-115
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中川 正法(京都府立医科大学 大学院・医学研究科・神経内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 早坂 清(山形大学医学部・小児科)
  • 蜂須賀 研二(産業医科大学医学部・リハビリテーション医学)
  • 山下 敏彦(札幌医科大学・医学部・整形外科)
  • 滋賀 健介(京都府立医科大学大学院・神経内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国においてシャルコー・マリー・トゥース(Charcot-Marie-Tooth)病(CMT)の遺伝子診断に関しては大きな進展が見られているが、CMTの研究・治療に関する情報が医療関係者、CMT患者に普及しているとは言い難い。本研究の目的は、昨年度までの研究を踏まえて、神経内科医、整形外科医、リハビリテーション医、CMT患者会と協力して、CMT患者の診断、治療、療養環境の整備、CMT研究状況などの情報を速やかに共有化するシステムを構築することである。
研究方法
①CMT患者の診療実態調査:患者・家族へのアンケート調査、②「シャルコー・マリー・トゥース病診療マニュアル」(金芳堂、2010)の普及活動、③ロボットスーツ「HAL」の有効性に関する研究、④CMTに対する手術治療の研究、⑤ホームページの運用、⑥市民公開講座の開催、⑦CMTの治療法の開発・分子疫学、⑧CMT相談活動を行う。
結果と考察
①患者および患者家族を対象としたアンケート調査を行った。患者の約8割の患者が何らかの形で歩行可能であった。就労者47.1%であり、社会的にアクティブに活動されている患者が多かった。遺伝子検査は、67.6%の患者が遺伝子検査を受け、その約4割で原因遺伝子が判明していた。2)「シャルコー・マリー・トゥース病診療マニュアル」を各都道府県の難病対策部門および80医学部・医科大学への送付、CMT友の会への配付し、その普及に努めた。3)サイバーダイン社の福祉用「HAL」をレンタルし、CMT患者に装着した。四肢近位筋の筋力が低下する重度障害のCMT症例においてはロボットスーツ「HAL」が起立歩行支援に有用であると考えられた。4)臨床症例では、凹足変形や麻痺が存在しても疾患と認識せずに放置していた例が存在した。尖足の持続した例では、足底に皮膚潰瘍が生じ感染を併発していた。このような例では局所の治療のみでは不十分で、足の変形と機能を改善する術式が有効であった。5)前年度に引き続き、CMT遺伝子検査を高嶋班と連携して行った。遺伝カウンセリングを含むCMTに関する相談活動を外来診療とは別に、遺伝相談室やCMT患者会の総会などの機会に行った。6)大阪と東京でCMT公開講座を行った。「CMT友の会」の交流会に参加し患者・家族との相談活動、ロボットスーツ「HAL」の試着に携わった。
結論
CMT診療マニュアルは、これまでわが国にはなく画期的なものである。本研究は、神経内科医、整形外科医、リハビリテーション医、CMT患者会と協力で行われており、CMT患者の診療環境の向上、CMTの原因解明・治療法の開発に寄与すると考える。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024170Z