Mowat-Wilson症候群の診断法の確立と成長発達に伴う問題点とその対策に関する研究

文献情報

文献番号
201024168A
報告書区分
総括
研究課題名
Mowat-Wilson症候群の診断法の確立と成長発達に伴う問題点とその対策に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-113
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
若松 延昭(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 遺伝学部)
研究分担者(所属機関)
  • 橋田 誠一(徳島文理大学 健康科学研究所)
  • 片上 秀喜(帝京大学 ちば総合医療センター)
  • 水野 誠司(愛知県心身障害者コロニー中央病院)
  • 斎藤加代子(東京女子医科大学附属遺伝子医療センター)
  • 黒澤 健司(神奈川県立こども医療センター)
  • 小崎 里華(国立成育医療研究センター)
  • 岡本 伸彦(大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 平木 洋子(広島市こども療育センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Mowat-Wilson症候群の診断法を確立し、成長発達に伴う問題点を明らかにし、その対策を行う。
研究方法
1)依頼症例のZFHX1B (ZEB2)の変異解析を行った。
2)疾患モデルマウス胎児脳のShox2に対する高感度測定法の開発に着手した。
3)疾患モデルマウスと野生型マウス脳の血中ソマトスタチン値の測定を行った。
4)患者家族からの「成長発達に伴う問題点」に関するアンケート調査を行い、問題点をまとめた。
5)レポーターノックインマウスの脳を用いて、Zfhx1bタンパク質の発現を解析した。
結果と考察
1)本年度、本症候群が疑われる10症例のZFHX1B変異解析依頼があり、7例にフレームシフト変異を同定し、残りの3例は定量PCR法で欠失が疑われた。現在までに、ナンセンス変異21例、フレームシフト変異28例、欠失19例を同定した。
2)モデルマウス脳で発現量の増加が見られるShox2の測定法の開発を行ったが、測定系は作製できなかった。本症候群の診断をより確実にするためには、本タンパク質などの微量測定を用いた出生時の診断法が望ましく、本研究を継続する。
3)野生型と疾患モデルマウス脳でのソマトスタチンの優位な差は見られず、本研究は診断に有効ではなかった。
4)15症例の患者の家族からのアンケート結果から、「癇癪や機嫌の変化が起きやすい性格」、「感覚刺激の受け取り方の偏り」、「身振りなどの動作による要求手段の有用性とコミュニケーション能力訓練の重要性」、「医師の本症候群の認知度の低さ」が明らかとなった。これらをホームページ上で報告し、臨床の場に還元することが重要である。
5)Sip1タンパク質は、胎生後期から成獣に至るまで、主に海馬と歯状回で発現しており、本症候群の重度精神遅滞の原因に海馬の形成異常が関わっていることが示唆された。
結論
1)Mowat-Wilson症候群の微量タンパク質測定を用いた出生時診断法の確立をめざした研究を開始した。
2)患者家族に実施したアンケート調査により、発達・療育における新たな知見と問題点が得られた。
3)神奈川県での本症候群の発生頻度は、約11万出生に1例と推定され、昨年の愛知県での同研究結果(10万出生に1.3例)と、ほぼ同じ値であった。
4)胎生後期から成獣に至るまでのマウス脳において、Sip1タンパク質は主に海馬と歯状回に発現していた。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024168Z