新規疾患の新生児マススクリーニングに求められる実施体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
202527007A
報告書区分
総括
研究課題名
新規疾患の新生児マススクリーニングに求められる実施体制の構築に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23DA0801
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
但馬 剛(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 研究所 マススクリーニング研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 田島 敏広(自治医科大学 医学部 小児科学)
  • 濱崎 考史(大阪公立大学 大学院医学研究科 発達小児医学)
  • 知念 安紹(琉球大学 大学院医学研究科 育成医学講座)
  • 沼倉 周彦(埼玉医科大学病院 ゲノム医療科/小児科)
  • 小林 弘典(島根大学医学部附属病院 検査部)
  • 湯浅 光織(福井大学 学術研究院医学系部門(附属病院部))
  • 中村 公俊(熊本大学 大学院生命科学研究部 小児科学講座)
  • 大石 公彦(東京慈恵会医科大学 小児科)
  • 小須賀 基通(国立成育医療研究センター 遺伝診療センター 遺伝診療科)
  • 下澤 伸行(岐阜大学 高等研究院)
  • 今井 耕輔(防衛医科大学校 医学教育部 医学科 小児科学講座)
  • 山形 崇倫(栃木県立リハビリテーションセンター)
  • 加藤 環(東京女子医科大学 ゲノム診療科)
  • 竹島 泰弘(兵庫医科大学 医学部 小児科学)
  • 木水 友一(大阪母子医療センター 脳神経内科)
  • 森岡 一朗(日本大学 医学部 小児科学)
  • 鈴木 光幸(順天堂大学 医学部 小児科)
  • 川目 裕(東京慈恵会医科大学附属病院 遺伝診療部)
  • 金子 実基子(東京慈恵会医科大学 遺伝診療部)
  • 倉澤 健太郎(横浜市立大学 大学院医学研究科 生殖生育病態医学)
  • 中込 さと子(信州大学 医学部 保健学科 看護学専攻)
  • 篠原 正和(神戸大学 大学院医学研究科 分子疫学分野)
  • 此村 恵子(国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)
  • 星野 絵里(国立成育医療研究センター 研究所 政策科学研究部 政策評価研究室)
  • 長尾 雅悦(国立病院機構北海道医療センター 小児科)
  • 和田 陽一(東北大学 医学イノベーション研究所 医学創生研究部)
  • 野口 篤子(秋田大学 大学院医学系研究科 小児科学)
  • 入月 浩美(新潟大学 医歯学総合病院 ゲノム医療部 遺伝医療センター)
  • 大澤 好充(群馬大学 医学部附属病院 小児科)
  • 石毛 美夏(和田 美夏)(日本大学 医学部 小児科学)
  • 味原 さや香(埼玉医科大学病院 小児科/ゲノム医療科)
  • 中島 葉子(市原 葉子)(藤田医科大学 医学部 小児科学)
  • 笹井 英雄(国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学 大学院医学系研究科)
  • 李 知子(兵庫医科大学 医学部 小児科学)
  • 坊 亮輔(神戸大学 医学部附属病院 小児科)
  • 香川 礼子(広島大学病院 小児科)
  • 濱田 淳平(愛媛大学 大学院医学系研究科 小児科学)
  • 井上 貴仁(福岡大学病院 総合周産期母子医療センター)
  • 澤田 浩武(宮崎大学 医学部 看護学科)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
9,470,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 新たな検査法や治療法の実用化によって、新生児マススクリーニング対象候補疾患が増加しているが、公的事業化の道筋が不明瞭な状況下、地域ごとに研究ないし自費検査として、様々な疾患セットのスクリーニングを始める動きが拡大を続けている。現状に関する情報を収集・評価し、社会実装するために必要な体制構築を推進する。
研究方法
①各疾患の新生児マススクリーニングに関する情報収集と評価
脊髄性筋萎縮症(SMA)・重症複合免疫不全症(SCID)・B細胞欠損症・ライソゾーム病・副腎白質ジストロフィー・先天性サイトメガロウイルス感染症について、各疾患領域の専門学会・研究班と共同で調査を実施した。先天性胆汁酸代謝異常症については、スクリーニング試験研究の実施に先立って必要となる準備作業を進めた。

②スクリーニング検査の精度管理手法の検討
定量PCR法による SMA・SCID およびB細胞欠損症のスクリーニング検査の外部精度管理用血液濾紙検体を作製し、各検査機関の検査精度を評価した。

③遺伝カウンセリング体制に関する検討
 研究班員を対象に、国内各地域での現状調査を実施した。

④対象疾患の医療経済評価
 各疾患の関連情報を収集し、費用対効果分析の実施が可能と判断された、SMA・SCID・先天性サイトメガロウイルス感染症・ポンペ病について評価を行なった。

⑤これらの取り組みを通じて収集された情報・データ等を整理して、疾患別のファクトシートとして取りまとめた。現行マススクリーニング対象疾患についても、専門とする班員によって、現状を同じ様式で整理した。
結果と考察
 新規疾患の新生児マススクリーニングについて、現状評価のための知見収集と実施体制確保を推進した。進捗状況は疾患領域ごとの隔たりが尚大きいが、同様の格差は現行対象疾患の間にも認められるものである。
 本研究と並行して実証事業が実施されてきた SMA・SCID マススクリーニングについては、以下の点について、班員のコンセンサスが得られた。

1. 新生児の時点で検査・診断し、発症前に治療介入する必要がある疾患であり、疾患の疫学・自然歴が明らかであること

2. 発症前からの治療(予防)方法が確立しており、新生児マススクリーニング検査で早期診断・早期治療に繋げることで予後の改善が見込まれること

3. 内部精度管理及び外部精度管理の体制が担保された検査方法が確立しており、新生児期に発症する病型の見逃し(偽陰性)が少なく、さらに
・精密検査の結果、対象疾患以外の疾患の診断がつく場合においても、適切な対応が行える体制が確保されることや、
・発症前の病型予測が困難で、かつ、その経過観察において、身体的侵襲や心理的負担が大きいケースには該当しないこと
から、重大な問題となるような過剰診断(偽陽性)が少ないこと

4. スクリーニング検査陽性者や患者が、必要な精密検査や診療、遺伝カウンセリングを受けられるといった一連の継続的な診療体制が整備されていること。

 各自治体において拡大マススクリーニングとして実施されているその他の疾患についても、現状の課題を評価するとともに、その解決に向けたさらなる知見収集と体制構築を進める必要がある。
結論
 公的事業化に向けて充足すべき条件として、2020〜2022年度 AMED 研究開発課題「新生児マススクリーニング対象拡充のための疾患選定基準の確立」の最終成果物として報告した、新生児マススクリーニング対象疾患を選定するための評価項目リストを基に、本研究班での知見を反映させた改訂版を取りまとめた。今後これが各疾患マススクリーニング関係者の取り組みの目安となり、公的事業化の適否を判断する資料として活用されることを期待している。

公開日・更新日

公開日
2026-10-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
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研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2026-10-02
更新日
-

文献情報

文献番号
202527007B
報告書区分
総合
研究課題名
新規疾患の新生児マススクリーニングに求められる実施体制の構築に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23DA0801
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
但馬 剛(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 研究所 マススクリーニング研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 田島 敏広(自治医科大学 医学部 小児科学)
  • 濱崎 考史(大阪公立大学 大学院医学研究科 発達小児医学)
  • 知念 安紹(琉球大学 大学院医学研究科 育成医学講座)
  • 沼倉 周彦(埼玉医科大学病院 ゲノム医療科/小児科)
  • 小林 弘典(島根大学医学部附属病院 検査部)
  • 湯浅 光織(福井大学 学術研究院医学系部門(附属病院部))
  • 中村 公俊(熊本大学 大学院生命科学研究部 小児科学講座)
  • 大石 公彦(東京慈恵会医科大学 医学部 小児科学)
  • 小須賀 基通(国立成育医療研究センター 遺伝診療センター 遺伝診療科)
  • 下澤 伸行(岐阜大学 高等研究院)
  • 今井 耕輔(防衛医科大学校 医学教育部 医学科 小児科学講座)
  • 山形 崇倫(栃木県立リハビリテーションセンター)
  • 斎藤 加代子(東京女子医科大学 医学部)
  • 加藤 環(東京女子医科大学 ゲノム診療科)
  • 竹島 泰弘(兵庫医科大学 医学部 小児科学)
  • 木水 友一(大阪母子医療センター 脳神経内科)
  • 森岡 一朗(日本大学 医学部 小児科学)
  • 窪田 満(国立成育医療研究センター 総合診療部)
  • 鈴木 光幸(順天堂大学 医学部 小児科)
  • 川目 裕(東京慈恵会医科大学附属病院 遺伝診療部)
  • 金子 実基子(東京慈恵会医科大学附属病院 遺伝診療部)
  • 倉澤 健太郎(横浜市立大学 大学院医学研究科 生殖生育病態医学)
  • 中込 さと子(信州大学 医学部 保健学科 看護学専攻)
  • 篠原 正和(神戸大学 大学院医学研究科 分子疫学分野)
  • 此村 恵子(国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)
  • 星野 絵里(国立成育医療研究センター 研究所 研究所政策科学研究部 政策評価研究室)
  • 田中 藤樹(国立病院機構北海道医療センター 小児科/小児遺伝代謝センター/臨床研究部)
  • 長尾 雅悦(国立病院機構北海道医療センター 小児科/小児遺伝代謝センター/臨床研究部)
  • 和田 陽一(東北大学 医学イノベーション研究所 医学創生研究部)
  • 野口 篤子(秋田大学 大学院医学系研究科 小児科学)
  • 入月 浩美(新潟大学 医歯学総合病院 ゲノム医療部 遺伝医療センター)
  • 大澤 好充(群馬大学 医学部附属病院 小児科)
  • 石毛 美夏(和田 美夏)(日本大学 医学部 小児科学)
  • 味原 さや香(埼玉医科大学病院 小児科/ゲノム医療科)
  • 中島 葉子(市原 葉子)(藤田医科大学 医学部 小児科学)
  • 笹井 英雄(岐阜大学 大学院医学系研究科 小児希少難病早期診断・予防医学)
  • 李 知子(兵庫医科大学 医学部 小児科学)
  • 坊 亮輔(神戸大学 医学部附属病院 小児科)
  • 香川 礼子(広島大学病院 小児科)
  • 濱田 淳平(愛媛大学 大学院医学系研究科 小児科学)
  • 井上 貴仁(福岡大学病院 総合周産期母子医療センター)
  • 澤田 浩武(宮崎大学 医学部 看護学科)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
齋藤加代子:定年退職のため、令和7年度より加藤環に交代 窪田満:他の研究課題・臨床業務等でエフォート過多のため、同一課題の研究分担者である鈴木光幸に一任 田中藤樹:医院開業のため、令和7年度より長尾雅悦に交代

研究報告書(概要版)

研究目的
 新たな検査法や治療法の実用化によって、新生児マススクリーニング対象候補疾患が増加しているが、公的事業化の道筋が不明瞭な状況下、地域ごとに研究ないし自費検査として、様々な疾患セットのスクリーニングを始める動きが拡大を続けている。現状に関する情報を収集・評価し、社会実装するために必要な体制構築を推進する。
研究方法
①各疾患の新生児マススクリーニングに関する情報収集と評価
 脊髄性筋萎縮症(SMA)・重症複合免疫不全症(SCID)・B細胞欠損症・ライソゾーム病・副腎白質ジストロフィー・先天性サイトメガロウイルス感染症について、各疾患領域の専門学会・研究班と共同で調査を実施した。先天性胆汁酸代謝異常症については、スクリーニング試験研究の実施に先立って必要となる準備作業を進めた。

②スクリーニング検査の精度管理手法の検討
 定量PCR法による SMA・SCID およびB細胞欠損症のスクリーニング検査の外部精度管理用血液濾紙検体を作製し、各検査機関の検査精度を評価した。

③遺伝カウンセリング体制に関する検討
 研究班員を対象に、国内各地域での現状調査を実施した。

④対象疾患の医療経済評価
 各疾患の関連情報を収集し、費用対効果分析の実施が可能と判断された、SMA・SCID・先天性サイトメガロウイルス感染症・ポンペ病について評価を行なった。

⑤これらの取り組みを通じて収集された情報・データ等を整理して、疾患別のファクトシートとして取りまとめた。現行マススクリーニング対象疾患についても、専門とする班員によって、現状を同じ様式で整理した。
結果と考察
 新規疾患の新生児マススクリーニングについて、現状評価のための知見収集と実施体制確保を推進した。進捗状況は疾患領域ごとの隔たりが尚大きいが、同様の格差は現行対象疾患の間にも認められるものである。
 本研究と並行して実証事業が実施されてきた SMA・SCID マススクリーニングについては、以下の点について、班員のコンセンサスが得られた。

1. 新生児の時点で検査・診断し、発症前に治療介入する必要がある疾患であり、疾患の疫学・自然歴が明らかであること

2. 発症前からの治療(予防)方法が確立しており、新生児マススクリーニング検査で早期診断・早期治療に繋げることで予後の改善が見込まれること

3. 内部精度管理及び外部精度管理の体制が担保された検査方法が確立しており、新生児期に発症する病型の見逃し(偽陰性)が少なく、さらに
・精密検査の結果、対象疾患以外の疾患の診断がつく場合においても、適切な対応が行える体制が確保されることや、
・発症前の病型予測が困難で、かつ、その経過観察において、身体的侵襲や心理的負担が大きいケースには該当しないこと
から、重大な問題となるような過剰診断(偽陽性)が少ないこと

4. スクリーニング検査陽性者や患者が、必要な精密検査や診療、遺伝カウンセリングを受けられるといった一連の継続的な診療体制が整備されていること。

 各自治体において拡大マススクリーニングとして実施されているその他の疾患についても、現状の課題を評価するとともに、その解決に向けたさらなる知見収集と体制構築を進める必要がある。
 現行マススクリーニングは、公的事業化から50年目を迎えようとしているが、対象となっている先天代謝異常症については、専門家の偏在などの要因から、実施体制の均てん化が十分とは言い難い状況が看取されてきた。特に一般財源化以降は、発見患者の把握にも地域ごとに温度差があり、全国的な情報集約が困難となっていた。このような課題への対応策として、実施主体である各自治体に、域内のマススクリーニング関係者が集まる「連絡協議会」の設置と、その取りまとめ役となる「中核医師」の選任を要請し、これを介して全国的な情報共有を図ってきた。本研究課題でも、各地域ブロックの研究分担者による現状調査は、域内各自治体の中核医師等の協力を得て進められた。集められた情報だけでなく、一連の取り組み自体にも、実施体制の均てん化を促進する効果が見込まれる。
結論
 公的事業化に向けて充足すべき条件として、2020〜2022年度 AMED 研究開発課題「新生児マススクリーニング対象拡充のための疾患選定基準の確立」の最終成果物として報告した、新生児マススクリーニング対象疾患を選定するための評価項目リストを基に、本研究班での知見を反映させた改訂版を取りまとめた。今後これが各疾患マススクリーニング関係者の取り組みの目安となり、公的事業化の適否を判断する資料として活用されることを期待している。

公開日・更新日

公開日
2026-10-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202527007C

収支報告書

文献番号
202527007Z