文献情報
文献番号
202527006A
報告書区分
総括
研究課題名
父親の子育て支援推進のためのプログラムの確立に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23DA0701
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
竹原 健二(国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所 政策科学研究部)
研究分担者(所属機関)
- 加藤 承彦(聖路加国際大学大学院 公衆衛生学研究科 医療政策管理分野)
- 小崎 恭弘(大阪教育大学 健康安全教育系教育学部教員養成課程家政教育部門)
- 髙木 悦子(帝京科学大学 医療科学部看護学科)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,885,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国では、「イクメン」ブームを端緒として父親の育児が注目されるようになったが、約10%の父親が産後うつを経験しているとの報告もあり、父親の役割の変化に伴い支援ニーズも多様化している。自治体は父親支援の必要性を認識しつつも、計画・実施段階で困難を抱えており、支援事業の実施は一部に留まっている。 本研究班は令和2年度より、父親支援の在り方の検討と社会実装に取り組んできた。最終年度となる令和7年度は、これまでに蓄積したエビデンスや自治体とのネットワークを最大限に活用し、わが国の父親支援事業の推進に向けたEBPM(Evidence-Based Policy Making)サイクルの活性化と、父親およびその家族のWellbeingの向上を目的とした。具体的には、二次データ解析による父親の健康や生活実態に関するエビデンスの創出(課題1)、全国の自治体における父親支援の実施状況と課題の把握(課題2)、既刊の「父親支援マニュアル」の利活用促進と、それを通じた支援プログラムの普及・実装(課題3)、の3点に取り組んだ。
研究方法
課題1では、先行研究の網羅的なレビューに加え、厚生労働省「国民生活基礎調査」、総務省「社会生活基本調査」、およびJapan COVID-19 and Society Internet Survey(JACSIS)のデータを用い、父親の悩みやストレスの関連要因、生活時間の推移について二次データ解析をおこなった。 課題2では、全国の基礎自治体の母子保健担当部署を対象に、郵送およびWebによる質問票調査を実施した。過去の調査結果と比較し、父親支援事業の実施状況や既存の母子保健事業への父親の参加状況の変化を分析した。 課題3では、令和6年度末に公開した「父親支援マニュアル」の普及を目指し、自治体職員等に対する研修会の実施、メディアを通じた情報発信、および学術集会でのワークショップ開催等を通じ、専門職や学術領域への周知・啓発活動をおこなった。
結果と考察
課題1の結果、未就学児を育てる父親の多くが悩みやストレスを抱えており、その主な要因は「仕事」に関することであり、次いで経済的な事柄であることが示された。生活時間については、過去と比較して睡眠や休息時間が増加傾向にあるものの、勤務日の育児時間の大幅な増加は見られなかった。以上より、父親支援には育児への関わりだけでなく、仕事や経済不安、メンタルヘルスを包含した多面的なアプローチが不可欠であることが示唆された(課題1)。 課題2の自治体調査では、父親を主な対象とした事業の実施率は過去の調査から緩やかに増加した。乳幼児健診や新生児訪問において父親の参加が増えたと実感する自治体が多く、支援の接点は拡大している。一方で、参加した父親に対し具体的な支援をおこなっていない自治体も一定数存在し、職員研修の実施も限定的であるなど、具体的な施策への転換が課題として浮き彫りになった(課題2)。今後は、こども家庭センターを拠点とした支援体制の構築が期待される。 課題3において、父親支援マニュアルの周知活動を推進した結果、今年度のダウンロード数は2,817件(昨年度と合わせて累計5,560件)に達し、広く活用されつつあることが示された。研修受講者からは肯定的な評価が得られた一方、今後は専門用語の平易化や、多領域での活用に向けた検討、さらには社会実装を推進するためのロードマップの提示が必要であると考えられた(課題3)。
結論
今年度の研究を通じ、父親支援の在り方を検討するための新たな知見の創出、自治体における実施状況および父親の行政事業への参加実態の把握、そしてマニュアルの利活用に向けたポイントの整理を遂行することができた。これらの成果は、父親支援が一部の意欲的な自治体による取り組みに留まるのではなく、全国的・普遍的な支援として広がるための基盤となるものである。今後も父親を含む親子への支援が全国で展開されるよう、社会実装の推進に貢献していきたい。
公開日・更新日
公開日
2026-07-23
更新日
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