先天性無痛症の診断・評価および治療・ケア指針作成のための研究

文献情報

文献番号
201024166A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性無痛症の診断・評価および治療・ケア指針作成のための研究
課題番号
H22-難治・一般-111
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
芳賀 信彦(東京大学医学部附属病院 リハビリテーション科)
研究分担者(所属機関)
  • 天野 史郎(東京大学医学部附属病院 眼科)
  • 犬童 康弘(熊本大学医学部附属病院 小児科)
  • 久保田 雅也(国立成育医療研究センター 神経内科)
  • 白川 公子(東京西徳洲会病院 小児医療センター 発達心理)
  • 田中 千鶴子(昭和大学保健医療学部 看護学科)
  • 田中 信幸(群馬整肢療護園 整形外科)
  • 冨岡 俊也(東京大学医学部附属病院 麻酔科・痛みセンター)
  • 馬場 直子(神奈川県立こども医療センター 皮膚科)
  • 三輪 全三(東京医科歯科大学 歯学部附属病院 育成系診療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先天性無痛症(CIP)及び先天性無痛無汗症(CIPA)に関し、脳神経科学・医療検査技術の進歩に基づいた各領域の研究を行い、「総合的な治療・ケアのための指針」を策定すること。
研究方法
診療実態に関する調査、病態把握のための基礎・臨床研究、合併症に関する臨床研究、患者・家族の支援に関する研究を行った。
結果と考察
1) 診療実態に関する調査:患者数、診療医療機関把握を目的に、関連学会にアンケート調査を行い、国内患者数を100名以上と予測した。
2) 病態把握のための基礎・臨床研究:CIPA9名に対し感覚神経伝導域値検査を行い、Aβ線維に関係する感覚にも障害が及んでいる可能性が示唆された。CIPAにおける体温変化を継時的に捉える可能性を検討する目的で、正常成人の日常生活中の体温変化を検討し、本検査をCIPAに応用できるデータを得た。
3) 合併症に関する臨床研究:CIPAでは睡眠構造の異常や運動発達の異常が多く、これと関連し正常小児において睡眠脳波におけるnon-REM atonia出現率を検討した。出現率は15.6±24.4%であり、この値は終夜ポリグラフの結果に近似していた。CIPおよびCIPAにおけるビデオを用いた歩行分析では、若年患者で歩行速度、歩調が大きく、踵接地から足底全体での接地までの時間は短い傾向があり、下肢障害との関連が示唆された。視機能に関しては角膜潰瘍の発生予防と早期治療の重要性が判明した。皮膚に関しては、経時的な経皮水分蒸散量の低下、皮脂量の増加が明らかになった。歯科領域では、下顎骨骨髄炎例で抜去すべき歯を決定する際、透過型光電脈波法の応用が有効であった。また味覚認知に於いて、閾値の上昇、カプサイシンに対する刺激性認知が明らかになった。
4) 患者・家族の支援に関する研究:患者の生活上の諸問題、および予防・対処法を、患者家族へのヒヤリング、シンポジウムにおける検診会等によって明らかにした。さらに、CIPA患者に詳細な知能検査を行った結果、学童は認知発達の偏りが見られ言語性優位であったが、成人例では偏りはなかった。
結論
CIPおよびCIPAに関して多方面から多彩な研究を行い、「総合的な治療・ケアのための指針作成」につながる成果を出すことができた。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024166Z