ナノ・テクノロジーを用いたプロピオン酸血症の新規治療法の開発

文献情報

文献番号
201024163A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノ・テクノロジーを用いたプロピオン酸血症の新規治療法の開発
課題番号
H22-難治・一般-108
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 徹(東京大学大学院医学系研究科 分子病態医科学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 清次(島根大学医学部小児科)
  • 片岡 一則(東京大学大学院工学系研究科 マテリアル工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
プロピオン酸血症(PA)患者胎児の肝臓に欠損するPCC遺伝子を補填する胎児治療法を提案、その効果と安全性をモデルマウスで実証する。具体的には①胎児肝臓へのナノ・ミセルデリバリー効率の検討②補填した酵素遺伝子の発現持続性の検討③疾患効果・安全の検討、翌年度には④出生後治療法の開発⑤食餌療法との併用効果の検討を行う。
研究方法
①ナノ・ミセル型遺伝子ベクター作製・最適化:DNAとポリエチレングリコールの量比、コンドロイチン硫酸の必要性、他の親水性外殻の使用の検討など本使用目的への最適化を行う。
②GFP発現ベクターを用いた胎児肝臓での発現に関する予備実験:マウス胎児の羊膜上血管から、GFP発現ベクターDNA封入したナノ・ミセルベクターを注入後、肝臓でのGFP発現を組織学的に解析する。結果をもとに、低毒性で、出生時に十分な発現があり、多くの肝細胞で長期間にわたり発現する条件を決定し、プロトコールを最適化する。
③PCC-/-マウスの胎児治療法確立:研究方法②で最適化された条件により、PCC-/-マウス胎児にPCC発現ベクターを封入したナノ・ミセルを導入し、PAの治療効果を判定する。また、発現解析、治療効果解析、及び、組織学的解析の結果から、PA胎児治療の最適プロトコールを確立する。
結果と考察
PCC-/-マウス胎児治療の為の最適化ベクターの条件を見出した。また、確立した注入方法により、ほぼ肝臓特異的にナノ・ミセルベクターの取り込みが可能で、さらにGFPの発現が出生後2週間以上維持されることを確認した。その上、ナノ・ミセル注入による副作用(退治の脂肪や肝臓障害、母体への影響など)は現在のところ認められないことから、PCC発現ベクターDNAを包埋したナノ・ミセルは十分治療応用可能であることが示唆される。これらを元に、PCCナノ・ミセルベクター作製、PCC-/-マウスコロニー拡大によるrecipientの確保など、PCC-/-マウス胎児にPCC発現ベクターを封入したナノ・ミセルを導入し、PAの治療効果を判定するための準備を行っている。
結論
ナノ・ミセルを用いた、胎児に対する遺伝子デリバリーによるPAの治療法確立に向けての基礎的な予備実験を行い、見通しを立てた。来年度は、実際の治療効率の検討を執り行う。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024163Z