ウエルナー症候群の病態把握、診療指針作成と新規治療法の開発を目的とした全国研究

文献情報

文献番号
201024162A
報告書区分
総括
研究課題名
ウエルナー症候群の病態把握、診療指針作成と新規治療法の開発を目的とした全国研究
課題番号
H22-難治・一般-107
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
横手 幸太郎(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 五十嵐 雅彦(みゆき会病院)
  • 森 聖二郎(東京都健康長寿医療センター 臨床研究推進センター)
  • 葛谷 雅文(名古屋大学大学院 医学系研究科発育・加齢医学講座(老年科学))
  • 三木 哲郎(愛媛大学大学院 プロテオ医学 研究センター 老年医学)
  • 吉本 信也(昭和大学医学部 形成外科)
  • 嶋本 顕(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 再生医学)
  • 田中 康仁(奈良県立医科大学 整形外科)
  • 竹本 稔(千葉大学附属病院 糖尿病・代謝・内分泌科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ウェルナー症候群 (Werner syndrome: WS)の病態把握、診療指針作成と新規治療法の開発。
研究方法
フィージビリティ・スタディとして施行した平成21年度のアンケート調査にて明らかとなったWS 396症例(302施設、現在通院中の確定例150症例、過去に通院歴のあった症例196症例、疑い例50症例)に対して臨床症状の詳細調査をアンケート形式で施行した。
結果と考察
396通中、196通(48%)の回答を得た。これまでの診断基準(昭和59年)と照らし合わせて、その陽性率を検討した所、主要兆候は1.早老性顔貌 (白髪、禿頭など)(98.5%に陽性)、2.白内障(95.7%)、3.皮膚の萎縮、硬化または難治性潰瘍形成 (96.9%)であった。その他の兆候に関しては、4.原発性性腺機能低下(子供の有無で調査し39%に子供有)、5.低身長及び低体重 (平均身長158cm, 平均体重 45.8kg)、6.音声の異常 (88.1%)、7.骨の変形などの異常 (22%に骨粗しょう症)、8.糖同化障害 (19%に境界型糖尿病、67%に糖尿病)、9.早期に現れる動脈硬化 (脳出血0.9%、脳梗塞5%、狭心症、心筋梗塞を含む冠動脈疾患16%、閉塞性動脈硬化症を23%)、10.尿中ヒアルロン酸増加(196症例中、12症においてのみ測定)、11. 血族結婚 (43%)であった。年齢分布を検討した結果、50代が89例と一番多く、続いて40代の35例であった。これまでWSの平均寿命は43歳と報告されており、本研究の結果からして、日本におけるWSの平均寿命は確実に延長していた。また我々はWSに多く認められるアキレス腱部の石灰化に着目して調査を行った。その結果、調査可能であった症例の78.9%の症例にアキレス腱の石灰化が陽性であった。WSにおいて特徴的に観察される分節型や火焔状のアキレス腱石灰化は簡便かつ早期診断に有用と思われた。また尿中ヒアルロン酸に関しては基準値もなく、診断的価値は低いことが示唆された。
結論
今回の調査によって現在の日本におけるWSの実態が明らかとなった。この結果に基づきWSの診断基準改定や世界初の治療指針を作成し、さらに本研究によって得られる知見を患者へと還元しつつ、患者の新しいニーズを発掘し、WSの予後・QOL改善、そして根治療法の確立へ向け、着実に歩みを進めていきたい。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024162Z