アレキサンダー病の診断基準および治療・ケア指針の作成、病態解明・治療法開発のための研究

文献情報

文献番号
201024161A
報告書区分
総括
研究課題名
アレキサンダー病の診断基準および治療・ケア指針の作成、病態解明・治療法開発のための研究
課題番号
H22-難治・一般-106
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
吉田 誠克(京都府公立大学法人 京都府立医科大学 大学院・医学研究科・神経内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 中川 正法(京都府公立大学法人 京都府立医科大学 大学院・医学研究科・神経内科学 )
  • 佐々木 征行(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科)
  • 吉田 眞理(愛知医科大学加齢医科学研究所 神経病理学)
  • 滑川 道人(自治医科大学医学部 神経内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦のアレキサンダー病の実態把握を行い、それをもとに診断基準を作成すること、これを普及させることで医療関係者の関心を高め、診断率の向上を図ること、さらには病態解明と治療法開発を行うことを目的として本研究班は結成された。平成21年度は全国有病者数ならびに二次調査を日本神経学会、日本小児科学会、日本小児神経学会の関連施設を対象に行い、39名の患者数を把握した。またおよそ270万人に1人の頻度と推定した。本年度はこれらの調査結果をもとに臨床診断指針を作成した。
研究方法
全国有病者数調査ならびに二次調査で得られたアレキサンダー病の臨床的特徴、遺伝学的特徴、神経病理学的特徴をまとめ、班会議(平成22年7月1日開催)にて最終的な臨床診断指針を作成した。
結果と考察
調査結果から臨床症状とMRI検査を基準に本病を3群に分け、診断指針を作成した。大脳優位型(1型)は「主に乳児期から学童期の発症で、神経学的所見としてけいれん、大頭症、精神運動発達遅滞、頭部MRI所見として前頭部優位の大脳白質病変を認めることを特徴とする機能予後不良の重症例が多い。」と定義した。延髄・脊髄優位型(2型)は「学童期あるいは成人期以降の発症で、神経学的所見として筋力低下、痙性麻痺、球症状、MRI所見として延髄・頚髄の信号異常あるいは萎縮を特徴とする。大脳優位型(1型)に比べると進行は緩徐である場合が多い。家族内発症で無症候の症例も存在する。」と定義した。中間型(3型)は1型と2型の両者の特徴を有する症例と定義したが、これには乳児型の長期生存例、若年型の一部、10代後半から20代発症の成人型の症例が含まれる可能性がある。本病は超稀少疾患であることと幅広い年齢で多彩な症状を呈することから未診断例が多数存在すると思われる。簡便で日常診療に用いることができ、確定診断である病理学的検査あるいは遺伝子検査へのガイドとなるよう診断率の向上に重点を置いた。
結論
確立した臨床診断指針によりアレキサンダー病の診断率向上が見込まれ、病態解明や治療法開発への道筋が期待できる。今後、新しい診断指針を関連学会における成果発表、論文化を通じて医療従事者へに普及するとともに、ホームページを開設して一般の方への普及に努める。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024161Z