先天性ケトン体代謝異常症(HMG-CoA合成酵素欠損症、HMG-CoA リアーゼ欠損症、β-ケトチオラーゼ欠損症、SCOT欠損症)の発症形態と患者数の把握、診断治療指針に関する研究

文献情報

文献番号
201024159A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性ケトン体代謝異常症(HMG-CoA合成酵素欠損症、HMG-CoA リアーゼ欠損症、β-ケトチオラーゼ欠損症、SCOT欠損症)の発症形態と患者数の把握、診断治療指針に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-104
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
深尾 敏幸(岐阜大学 大学院医学系研究科/大学院連合創薬医療情報研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 清次(島根大学 医学部 小児科学)
  • 重松 陽介(福井大学 医学部 看護学科)
  • 高柳 正樹(千葉県こども病院)
  • 新宅 治夫(大阪市立大学 大学院 発達小児医学)
  • 堀川 玲子(国立成育医療センター 第一専門診療部 内分泌代謝科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、ケトン体利用障害のβ-ケトチオラーゼ(T2)欠損症、SCOT欠損症に加えて、ケトン体産生障害のHMG-CoA合成酵素(mHS)欠損症とHMG-CoAリアーゼ(HL)欠損症の発症形態の把握、患者数の把握、診断治療に関する研究を行い、4疾患の早期発見、早期治療、QOLの向上をめざし、この2年間で4疾患に対する診断治療指針を作成、広く周知することである。
研究方法
1)国内患者把握のためのアンケート調査
対象4疾患、その疑い例についてアンケートを行った。「症例あり」は2次調査を行った。
2)診断治療指針作成のための検討
利用障害2疾患に関する診断指針を広く配布して、臨床にフィードバックした。合成障害2疾患に関しては、臨床診断、化学診断を検討、アンケート結果のまとめを行った。他研究班との協力で7名の研究協力者を得て、広く情報収集をした。
3)酵素診断および遺伝子診断のセンター的機能の充実。
4)先天性ケトン体代謝異常症のホームページを開設。
結果と考察
1)国内患者把握のためのアンケート調査
小児科専門医研修施設515施設に1次調査を送付し380施設から回答を得た。HL欠損症5例、mHS欠損症0例、T2欠損症6例、SCOT欠損症5例の報告があった。HL欠損症では研究協力者からの情報で3名の追加を行い計8症例の2次調査を行った。そのうち2症例は現在追跡不能であった。この調査により我が国におけるHL欠損症の臨床経過や予後が明らかになった。
2)診断治療指針作成のための検討
HL欠損症の有機酸、アシルカルニチン解析結果を検討した。典型的SCOT欠損症の臨床経過、SCOT欠損症が疑い症例の臨床経過を検討した。日本を含むアジアにおけるT2欠損症の有機酸、アシルカルニチン分析の検討で、日本人症例の特徴を明らかにできた。T2欠損症、SCOT欠損症などにおけるケトアシドーシス発作時の治療指針案を作成した。これらの解析を次年度につなげ、ケトン体代謝異常症の診断治療指針を作成する予定である。
3)酵素診断および遺伝子診断のセンター的機能の充実。
T2欠損症の遺伝子診断においてMLPA法を確立し新たな変異を同定した。 これにより遺伝子診断精度が向上した。
4)先天性ケトン体代謝異常症のホームページを開設。
ホームページを立ち上げ(http://www.ketone.jp/)、ケトン体診断指針などをダウンロード可能とし、診断に関する問い合わせも可能にした。
結論
22年度の研究目標は達成され、23年度への継続で、4疾患の診断治療指針を作成、広く周知する。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024159Z