日本人における新生児糖尿病発症原因遺伝子異常の実態把握および遺伝子変異部位による薬効変化に関する検討

文献情報

文献番号
201024151A
報告書区分
総括
研究課題名
日本人における新生児糖尿病発症原因遺伝子異常の実態把握および遺伝子変異部位による薬効変化に関する検討
課題番号
H22-難治・一般-096
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
稲垣 暢也(京都大学 医学研究科 糖尿病・栄養内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 長嶋 一昭(京都大学 医学研究科 糖尿病・栄養内科学)
  • 佐々木 真弓(京都大学 医学研究科 糖尿病栄養内科学)
  • 依藤 亨(大阪市立総合医療センター 小児代謝・内分泌内科)
  • 小泉 昭夫(京都大学 医学研究科 環境衛生学)
  • 棚橋 祐典(旭川医科大学 小児科学)
  • 雨宮 伸(埼玉医科大学 小児科)
  • 南條 輝志男(那智勝浦町立温泉病院 地域医療研究センター)
  • 古田 浩人(和歌山県立医科大学 第一内科学)
  • 花房 俊昭(大阪医科大学 医学部 内科学1)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新生児糖尿病は発症原因および頻度が詳細不明な希少疾患である。本研究は、本邦における新生児糖尿病の疫学的調査、症例の集積、発症原因遺伝子のスクリーニング、遺伝子変異部位に応じたin vitroでの薬効評価を行い、診断基準の策定および治療薬選択論拠の集積を目的とする。
研究方法
本邦における新生児糖尿病症例に関する全国アンケート調査「新生児糖尿病の疫学的実態把握のための全国調査」を行い、追加調査により報告症例中の重複症例を除外し、患者実数把握に努める。また、同疾患で主要な発症原因遺伝子であるKir6.2、SUR1およびインスリン遺伝子変異に関してスクリーニングを行い日本人症例における遺伝学的実態を検討する。同定された遺伝子変異に起因する薬効変化等を含めたin vitro機能解析を行う。
結果と考察
新生児糖尿病に関するアンケート調査により全国963施設中769施設から返答を得、2次アンケート送付43施設中40施設から詳細情報の返答を得た。総務省住民基本台帳統計の本邦総出生数を用いて日本人新生児糖尿病発症頻度を推定した。従来、新生児糖尿病発症頻度は、30-50万人出生に1人程度と考えられてきたが、今回の調査で想定より高頻度で発症している可能性を示唆する結果を得た。
さらに京都大学、分担研究者施設および各々の関連施設からの新生児糖尿病検体を用いて実施された発症原因遺伝子についての検討から、海外での報告同様、日本人においても同病発症原因遺伝子の中ではKir6.2遺伝子異常の頻度が最も高いとの結果を得た。同定された遺伝子変異による蛋白機能変化および薬剤反応性の変化も順次検討中で、同一遺伝子であっても遺伝子上の変異部位の違いにより、経口血糖降下薬を含めた薬剤反応性変化程度に違いが生じ得ることが判明している。次年度も継続解析予定である。
結論
本邦の新生児糖尿病発症頻度は従来推定より高頻度である可能性が示唆された。発症原因遺伝子に関して、本邦においても、欧米同様、Kir6.2遺伝子変異が最も多いことが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024151Z