低フォスファターゼ症の個別最適治療に向けた基礎的・臨床的検討

文献情報

文献番号
201024150A
報告書区分
総括
研究課題名
低フォスファターゼ症の個別最適治療に向けた基礎的・臨床的検討
課題番号
H22-難治・一般-095
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
大薗 惠一(大阪大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 島田 隆(日本医科大学医学(系)研究科(研究院))
  • 折茂 英生(日本医科大学医学(系)研究科(研究院))
  • 織田 公光(新潟大学医歯学総合研究科)
  • 五関 正江(日本女子大学家政学部食物学科)
  • 大嶋 隆(大阪大学歯学研究科)
  • 安井 夏生(徳島大学医学部)
  • 道上 敏美(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
低フォスファターゼ症の診断・治療効果判定指針を策定して、本症患者の実態を把握した上で、その診断•管理の向上を図る。酵素補充療法の導入の基盤を築くとともに、次世代治療の開発につなげる。
研究方法
患者実態把握のためのアンケート調査(全国調査)、広報活動(ホームページの開設、患者会との連携)、乳歯早期脱落に対する調査(歯学系大学へのアンケート)、遺伝子型-表現型の相関の検討(遺伝子診断とその臨床像の評価)、治療効果の判定(ピロリン酸の測定)、次世代治療法の開発(遺伝子治療、再生療法)を行う。
結果と考察
日本人の本症において最も頻度の高い変異であるc.1559delTは480分の1のアレル頻度で検出され、本変異のホモ接合となり発症する確率は1/920000であると計算された。これまでの解析から、c.1559delTホモ接合体は本症全体の約1/6に相当すると推定され、日本人における本症の発症頻度は約153000人に1人程度であることが判明した。
診断指針については、本症に関する総説などにおいても記載し、周知に努めている。その結果、これまで未診断であった症例の主治医が本研究班に連絡をされ、確定診断に至るケースが増加してきた。引き続き、学会発表や論文などを介して本研究班の成果に関する情報提供を行っていく。
本症のモデルであるALPノックアウトマウスを用いて遺伝子治療の効果を検討し、著明な延命効果や骨石灰化の改善を認めたので、論文として発表した。
結論
2年目に当たる今年度(平成22年度)は、策定した診断指針を広く周知するため、本班研究のホームページを立ち上げ、掲載した。医学雑誌などの媒体も活用した。ホームページにおいては、本症に関わる可能性のある小児科、整形外科、産科、歯科の医療従事者及び患者に最新の情報を提供し、本症の認知度の向上に努めるとともに、相談コーナーを設け、遺伝子解析の依頼などを含めた相談を受ける場として活用した。実際、本ホームページを介して、これまで診断に至っていなかった数症例の相談があり、遺伝子解析により確定診断することができた。本研究班の目的のひとつである、本症の全例把握のために、本ホームページが極めて有効なツールとなることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024150Z