Ames/QSARの化審法新規審査への実装に関する研究

文献情報

文献番号
202525019A
報告書区分
総括
研究課題名
Ames/QSARの化審法新規審査への実装に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25KD2002
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
杉山 圭一(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター ゲノム安全科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 三島 雅之(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
9,380,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Chemical Abstracts Serviceによると、現在登録されている化学物質は約3億種類に達し、毎日約6万種類の新規化学物質が登場している。これらの化学物質が環境や人に与える影響を従来の試験法で評価することは現実的に不可能であり、IT技術やin silico評価手法の活用が不可欠であることは明白である。本研究では、化審法新規審査における遺伝毒性評価に使用されているAmes試験とin vitro染色体異常試験に関して、Ames試験についてはin silico手法となるAmes/QSARへの移行性、in vitro染色体異常試験についてはその必要性について検討することを目的としている。
研究方法
Ames/QSARツールの予測性の評価、化審法への実装に向けた改良と戦略に関する研究に関しては、Ames/ QSARチャレンジプロジェクトで利用した12,140化合物からなるAmes試験データベースを改良し、TA100、TA98の結果のみからなる新規データベースを構築し、そのAmes変異原性をCASE Ultra(統計ベース)と、DEREK Nexus(知識ベース)の2つのQSARモデルで予測した。
化審法においてAmes試験をQSARに代替するための問題点の整理と、その克服法に関する研究については、本年度は化審法の審査シート(2001年9月~2024年3月)からAmes試験結果を有する3,225物質を抽出し,構造情報を整備したうえで,知識ベース型の Derek Nexus および統計ベース型の CASE Ultra を用いてQSAR評価を行った。
化審法における染色体異常試験の整理とその妥当性に関する研究については、本年度は、国内外における染色体異常試験の行政利用の状況を調査し、染色体異常試験とげっ歯類がん原性試験の両方の結果がある医薬品の情報を収集した。
結果と考察
Ames/QSARツールの予測性の評価、化審法への実装に向けた改良と戦略に関する研究に関しては、2つのQSARをバッテリーとした場合、新規データベースでその陽性予測性が顕著に向上した。また、Ames変異原性に関与する新たなアラート構造も示唆された。Ames/QSARの予測精度の向上にはQSARモデルの改良だけでなく、Ames試験法、評価方法の見直しも重要であり、試験結果の再評価とQSARモデルの改良のクロストークが、科学的かつ現実的な変異変性評価とに繋がるものと考える。
化審法においてAmes試験をQSARに代替するための問題点の整理と、その克服法に関する研究については、知識ベースと統計ベースのQSARを併用することで単独使用に比べて感度が向上することが確認された。
化審法における染色体異常試験の整理とその妥当性に関する研究については、染色体異常試験は日米欧の様々な規制で利用されており、リスク評価項目として重視されている現実が確認できた。一方で、げっ歯類発がん性の予測については感度が低く擬陽性も多い様子が見えたが、哺乳類細胞における評価はやはり重要と思われるため、細菌と哺乳類の違いを埋めるには何をすべきか、慎重に考えていく必要があろう。
結論
本研究は、化審法における化学物質の遺伝毒性評価スキームを最新の技術および知見等に基づきアップデートすることを目的としている。近年その予測精度が高まっているAmes/QSARについては、有用性の確認と、データベースを活用することでさらなる精度向上が見込まれることが示された。染色体異常試験に関しては、その有用性については、引き続き慎重に検討していく余地があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2026-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
202525019Z