曝露情報を考慮した化学物質のリスク評価法に関する研究

文献情報

文献番号
202525018A
報告書区分
総括
研究課題名
曝露情報を考慮した化学物質のリスク評価法に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25KD2001
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
諫田 泰成(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 庸一(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和9(2027)年度
研究費
20,508,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
化学物質のリスク評価では、動物試験等による最小毒性量等から、種差・個体差等による不確実係数に基づき、有害性評価値が算定される。適切な有害性評価値を得るためには、不確実係数をデータに基づき精緻化することが重要である。不確実係数の精緻化に必要なデータとして、その化学物質の摂取時の各臓器における曝露濃度、血中濃度、代謝・排泄など体内動態に関する情報が挙げられる。有害性評価がなされている化学物質は多いものの、体内動態と毒性影響の関連について評価がなされたものは少なく、不確実係数の精緻化の上で国際的にも課題となっている。また、各臓器における曝露濃度と毒性影響の関連を評価する上ではin vitro実験の活用が期待されるが、in vitroからin vivoへの適切な外挿のためにも、化学物質体内動態と毒性影響を関連付けたケーススタディが必要である。
本研究では不確実係数の精緻化による適切な有害性評価値の算定に役立つことを目的に、リスク評価のための体内曝露評価を実施することを目指す。本研究期間においては、複数の化学物質について、動物における体内曝露データ・毒性データ、およびそれをふまえたin vitro実験データを取得し比較することで、体内曝露と毒性の関連やin vitroからin vivoへの適切な外挿方法のケーススタディを実施する。
研究方法
対象とする物質は、これまでにハザード評価が行われた化学物質から、体内曝露評価を優先すべきものを調査し、5物質程度を選定する。具体的には、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(以下、「化審法」という。)における優先評価化学物質を優先的に検討し、国内外のハザード評価で神経毒性が知られ、かつ代謝による毒性の発揮や変化が示唆される物質の選択を予定している。これらの物質について、動物(ラット)への投与により毒性評価と体内動態データ取得を行う。得られた体内動態データから神経など体内曝露の評価を行い、毒性影響と体内曝露の関連を解析する。また体内動態シミュレーションを行い、物性パラメータと体内曝露の関連から、化学構造情報による体内曝露の推定方法を検討する。動態シミュレーションにより、モデルとした5物質の情報から、体内曝露に関わるパラメータを検討し、不確実係数の精緻化等に役立つ構造的特徴等の抽出を目指す。
結果と考察
本年度はまず、これまでにハザード評価が実施されている化学物質の中から、体内曝露評価の検討が特に重要と考えられる物質の調査を開始した。具体的には、化審法における優先評価化学物質を対象とし、国内外のハザード評価において神経毒性などが報告されていること、ならびに代謝により毒性の発現や変化が示唆されていること等の観点から、初年度の対象物質としてアクリルアミド(acrylamide)を選定した。次に、in vitro PoD当該物質について、市販の体内動態シミュレーターである Simcyp を用い、既存の文献情報等を活用して、親化合物であるアクリルアミドおよび主要代謝物であるグリシダミド(glycidamide)の体内動態データを推定した。さらに、OECD PBKガイダンスやDNT-IVB IATA case studyの分析に基づき、 in vitro 試験を実施し、得られたデータを基に体内曝露評価を行った。その結果、7.0 mg/kgBWと推定できた。
国際的には、OECDおよびEPAが主導するDNTの専門家会議において、限られたケーススタディによって、複数のin vitro評価系についてそれぞれ適切な利用範囲および改良すべき課題が明らかになると期待され、継続的な情報収集が必要と考えられた。今後、適切な化合物の選定とPBKモデルの検証によりin vitro PoDの活用が期待される。
結論
本研究では、PBPK シミュレーター Simcyp を用いてアクリルアミド(AA)およびグリシダミド(GA)の体内動態を予測したところ、推定された血中 C_max は既報値と良好に一致し、Simcyp による化学物質の動態予測の有用性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2026-08-14
更新日
-

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公開日・更新日

公開日
2026-08-14
更新日
-

収支報告書

文献番号
202525018Z