日本人特有の病態を呈する高IgD症候群に向けた新規診療基盤の確立

文献情報

文献番号
201024149A
報告書区分
総括
研究課題名
日本人特有の病態を呈する高IgD症候群に向けた新規診療基盤の確立
課題番号
H22-難治・一般-094
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
平家 俊男(京都大学大学院医学研究科 発達小児科学)
研究分担者(所属機関)
  • 中畑 龍俊(京都大学iPS細胞研究)
  • 西小森 隆太(京都大学大学院医学研究科 発達小児科学)
  • 小原 收(かずさDNA研究所 生物物理学)
  • 重松 陽介(福井大学 医学部 小児科学)
  • 横田 俊平(横浜市立大学 医学研究科 小児科学)
  • 荒川 浩一(群馬大学大学院 小児科学)
  • 原 寿郎(九州大学大学院 小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高IgD症候群は、世界で100例以上が報告されているのに対し、日本ではH20年度末で疑い2症例が報告されているのみであった。H21年度の実態調査において、確定診断例9例、疑診例7例の症例集積をみた。H22年度の本研究においては、この16例について個別二次調査、我々が開発した方法による確定診断を行った。その結果、真の高IgD症候群は6例のみであることを見い出した。これまでの日本の高IgD症候群に対する診療基盤を根本的に改善すべく、確定診断例について詳細な医療情報を集積する。
研究方法
本研究において以下の研究を予定した。1)本邦における高IgD症候群の実態を調査する、2)尿中メバロン酸測定・MK活性測定の系を確立することにより確実且つ迅速な診断体制を整える、3)日本での臨床的な特徴、プロフィールを提供する、4)高IgD症候群特異的iPS細胞を作成し、そこから血球系細胞への分化誘導を行い、炎症の発生機構を解明する、5)iPS細胞由来血球細胞を我々が開発したヒト細胞機能が評価できる免疫不全マウスNOGに移植し、動物モデル作成を試みる、6)同定された高IgD症候群患者の治療プロセスを策定する。
結果と考察
疾患特異性の高い迅速診断法としての尿中メバロン酸測定法、および確定診断法としてのMK酵素活性測定法確立を確立した。一次調査にて16例の症例集積があったにも係わらず、二次調査としての個別調査で確定診断例が6例に留まったことは日本における高IgD症候群に対する診療基盤の見直しが必須である。一方、高IgD症候群に対する疾患研究は十分に行われていない。自己炎症性疾患と分類されているが、メバロン酸キナーゼ活性低下という代謝性疾患としての病態を併せ持つ。通常の自己炎症性疾患に対するアプローチとは異なった疾患研究野の組み立てが必要である。治療基盤の確立のためにも、必須の事項である。今後高IgD症候群iPS細胞作成等を組み込んだ疾患研究を展開する。
結論
高IgD症候群に対する確固とした診療基盤を確立するためには、自己炎症性疾患としての病態とともに、代謝疾患としての病態を併せ持つ本疾患に対して、独自の観点からの疾患研究が必要である。我々は、6例の確定診断例の内、5症例についてiPS細胞作成を行っている。今後、高IgD症候群iPS細胞を用いた基礎的研究を組み入れた展開を図っていく。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024149Z