文献情報
文献番号
202525017A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質管理のためのin silico毒性予測の利用推進と統合的リスク評価の基盤構築に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24KD2004
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
増村 健一(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター安全性予測評価部)
研究分担者(所属機関)
- 山田 隆志(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
- 古濱 彩子(国立医薬品食品衛生研究所 ゲノム安全科学部)
- 水野 忠快(東京大学 大学院薬学系研究科)
- 松本 真理子(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 安全性予測評価部)
- 安部 賀央里(鈴木 賀央里)(名古屋市立大学 大学院データサイエンス研究科)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
18,020,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
化学物質管理の課題解決に資する有用なin silico評価手法の開発を目指し、十分な毒性情報がない化学物質の毒性予測およびリスク評価における専門家判断を支援するin silico評価技術の基盤構築を通じて、化審法等における生活関連化学物質の安全性評価に寄与することを目的とする。
研究方法
化審法における既存化学物質のAmes変異原性情報とAmes/QSAR予測の比較を行った。芳香族アミンに対する量子化学計算に基づく相対エネルギー値を用いたAmes変異原性予測手法における芳香族ニトロの影響について検討した。化学言語モデルを対象に文献調査と解析を行い、QSARモデルにおける入力表現の設計が性能や解釈に与える影響を検討した。リードアクロスの信頼性向上へ向け、事例研究の候補化合物とシナリオを基に情報を収集して追加のレビューを行った。急性毒性影響へのIVIVEアプローチ適用の可能性を評価するとともに急性毒性の低い物質の特徴を整理した。薬物代謝酵素であるシトクロムP450(CYP)に関するin silico予測モデルを活用し、反復投与毒性に関する種差との関連を確認するためクラスタリングを実施した。
結果と考察
化審法における既存化学物質のAmes変異原性情報とAmes/QSAR予測の比較を行った。モデルに既知の陽性として含まれていない陽性物質に対する感度は低い可能性が示唆された。芳香族ニトロの有無等の部分構造を加味した相対エネルギー値ddEの閾値を用いたモデルを検討した結果、ddEの閾値のみのモデル、統計ベースモデル、知識ベースモデルの多数決(2モデル以上で陽性ならば陽性、2モデル以上で陰性ならば陰性)をとる方針でパフォーマンス評価することで、感度と特異度のバランスが取れた結果となった。既存QSARモデルの性能を比較する中、化学言語モデルによる毒性予測では入力SMILESの正規化方法が交絡要因になることを見出した。引き続き結果の解釈性が高く、化学的信頼性の高い深層学習モデル開発に取り組む。毒性データベース、既存のADMEおよびAOP等情報に基づいて、得られたカテゴリー物質について、機序に基づく事例研究の作成の観点から類似物質評価に資するNAMsの調査を行った。PBKモデルを活用したIVIVEアプローチの急性毒性への適用について課題が確認された一方で低急性毒性物質の構造及びADMEについては一定の特徴を捉えることが出来た。反復投与毒性に関する種差との関連を確認するため、クラスタリングを実施したところ、薬物代謝酵素であるシトクロムP450(CYP)の情報から種差の影響を推測できる可能が示唆された。
結論
化審法における既存化学物質のAmes変異原性情報とAmes/QSAR予測の比較を行った。用いた4つのQSARモデルはいずれも高い正確度を示した一方で、モデルに既知の陽性として含まれていない陽性物質に対する検出感度は低い可能性が示唆された。 芳香族アミンのニトレニウムイオンの安定性を評価する相対エネルギーddEを指標としたAmes変異原性予測モデルのパフォーマンスを評価し、既存のQSARモデルと組み合わせることで感度・特異度のバランスがとれた結果が得られることを示した。 化学言語モデルにおいてSMILESの表記揺れは無視できない要因であり、その影響はタスクの性質によって大きく異なることが明らかとなった。 毒性データベースや既存ADMEおよびAOP情報等に基づいて、リードアクロスの信頼性向上へ向けた事例研究の候補化合物の検索とシナリオを調査してレビューを行い、また関連するNAMの調査を進めた。 経口毒性を対象にIVIVEアプローチの有害性評価への適用可能性を評価した結果、in vitroアッセイ系では、in vivoで代謝活性化される物質の有害性を適切に捉えきれない可能性が示唆された。急性毒性物質の予測に資するデータベースの拡充については、構造とADMEの特徴について解析を行う必要がある。 CYP分子種の阻害活性情報からラットとヒトの肝毒性に関する種差情報をin silicoにて提供できる可能性を見出した。
公開日・更新日
公開日
2026-06-08
更新日
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