有機酸代謝異常症(メチルマロン酸血症・プロピオン酸血症)、尿素サイクル異常症(CPS1欠損症・OTC欠損症)、肝型糖原病の新規治療法の確立と標準化

文献情報

文献番号
201024148A
報告書区分
総括
研究課題名
有機酸代謝異常症(メチルマロン酸血症・プロピオン酸血症)、尿素サイクル異常症(CPS1欠損症・OTC欠損症)、肝型糖原病の新規治療法の確立と標準化
課題番号
H22-難治・一般-093
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
堀川 玲子(独立行政法人国立成育医療研究センター 内科系専門診療部 内分泌代謝科)
研究分担者(所属機関)
  • 笠原 群生(独立行政法人国立成育医療研究センター 外科系専門診療部 移植外科)
  • 重松 陽介(福井大学医学部)
  • 大浦 敏博(東北大学大学院医学系研究科)
  • 依藤 亨(大阪市立総合医療センター 小児内分泌代謝科)
  • 中村 公俊(熊本大学医学部附属病院小児科)
  • 齋藤 昭彦(度k率行政法人国立成育医療研究センター 内科系専門診療部 感染症科)
  • 梅澤 明弘(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 生殖・細胞医療研究部)
  • 伊藤 秀一(独立行政法人国立成育医療研究センター 内科系専門診療部 腎臓・膠原病科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先天代謝異常症は、アミノ酸・糖質・脂質の代謝異常により成長発達障害、重症型では致死的となりうる代謝発作を来す疾患群で、内科的治療で治癒は図れず、厳密な食事療法により患者及び家族のQOLは不良である。本研究の目的は、内科的治療法に限界のある先天代謝異常症において、新規外科的治療法の適応を確立することである。
研究方法
先行研究において、有機酸代謝異常症(メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症)、尿素サイクル異常症(CPS1, OTC欠損症)、肝型糖原病を対象に、生体肝移植と疾病予後実態把握の疫学調査を施行した。この結果を基に、1)肝移植適応判定項目を設定、適応外となる条件を明確にするため、生体肝移植適応基準の提言とスコアリング化、2)周術期診療指針の策定、3)長期予後の調査と評価、4)肝細胞移植の準備、基礎研究として、5)余剰肝の提供による、正常な機能を保持した肝細胞の分離と特性解析を行った。
結果と考察
1)肝移植治療適応疾患を1)積極的適応、2)相対的適応、3)非適応、に明確に分類し、個別の症例における適応条件を示してスコアリングする方法を考案した。疾患では、代謝の場が肝に限局されるものと全身性のもの、合併症などで適応の対象としての重み付けを行った。また、移植時期、従来の治療に対する優位性について、重症例には早期移植を提言した。また、従来の内科的治療法においては、シトルリン治療の有用性を検証した。
2)肝移植周術期管理について、感染管理・透析の適応と方法を具体的に手引きとして示した。
3)長期予後は、従来の治療法における生存例を解析評価し、また生体肝移植施行例の中長期予後を神経学的発達も含め評価した。生体肝移植施行例の成長・発達予後が良好であることが示された一方、有機酸血症における腎合併症などの進行も問題点としてあげられた。
従来の治療法での長期生存例では、重症膵炎などの併発が報告された。診断と経過観察法としてタンデムマススペクトロメトリ―の有用性が示された。
4)肝細胞移植 施設倫理委員会の承認を得て、基盤整備を進めた。
5)余剰肝による肝細胞バンク 検体収集を進めた。

結論
先天代謝異常症の生体肝移植について、生体肝移植適応の概要をより的確に把握できるよう、対象疾患の整理とスコアリング法を導入した。また、長期予後管理について、症例の集積と生化学的データの解析により、実情が把握され、現行治療にフィードバックされた。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024148Z