高チロシン血症を示す新生児における最終診断への診断プロトコールと治療指針の作成に関する研究

文献情報

文献番号
201024147A
報告書区分
総括
研究課題名
高チロシン血症を示す新生児における最終診断への診断プロトコールと治療指針の作成に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-092
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中村 公俊(熊本大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 奥山 虎之(国立成育医療研究センター)
  • 笠原 群生(国立成育医療研究センター)
  • 遠藤 文夫(熊本大学大学院生命科学研究部)
  • 伊藤 道徳(国立病院機構香川小児病院)
  • 但馬  剛(広島大学)
  • 伊藤 哲哉(名古屋市立大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高チロシン血症はタンデムマスを利用した新規新生児スクリーニングの対象疾患に含まれており、新生児期に患者が発見されることもある。しかし新生児期に血中チロシン高値を示す児は多く、その中から希少難病である遺伝性高チロシン血症を発見することは困難なことも少なくない。そこで、わが国における高チロシン血症の患者の診断・治療の状況について調査し、高チロシン血症の診断基準、治療指針を作成することを目的とした。
研究方法
 われわれはタンデム質量分析計を用いた新生児ろ紙血中のチロシンを測定し、高チロシン血症を示す新生児数を検討した。測定にはタンデム質量分析計(MICROMASS Quattro micro API)、HPLC(Waters 2795 Alliance) を用いた。調査では、遺伝性高チロシン血症I型5例、II型2例、III型1例の回答があった。そのほかに原因不明の高チロシン血症が10例回答されており、確定診断に至らない症例も少なくないと考えられた。
結果と考察
 タンデムマスを用いた高チロシン血症を示す新生児数を検討したところ、新生児72,695人中に8.0mg/dl以上のチロシン高値を認めた新生児は95人(0.13%)存在した。これらの新生児はチロシン値のみでは遺伝性高チロシン血症との区別は困難であった。確定診断のための検査法のひとつとして、高チロシン血症I型におけるゲノムDNAからのエクソン直接塩基配列解析法による遺伝子診断系を設定した。鑑別疾患となる高チロシン血症II型・III型については、酵素反応産物をHPLCによって分離・定量する酵素診断系を設定した。
結論
全国調査において報告された症例として、NTBC(ORFADIN)および低チロシン・低フェニルアラニン食餌療法で治療中の高チロシン血症Ⅰ型の患児の治療経過と今後の問題点について検討した。これらの検討から、診断指針の確立のためには、尿中有機酸分析におけるサクシニルアセトン増加の検出と酵素活性測定が重要であることが分かった。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024147Z